2023年8月29日火曜日

あなたたち みんな 寒い

 

 

 

坂本龍一と久石譲は

なにか大きなことや大事なことが

すでに終わってしまったあと

なお流れ続ける心情を伝えようと作曲しているように

聞こえてくる

 

人生のメインとなるイベントが終わってしまった後の

無人の風景や

動きの停止した世界を

流れていく音楽

 

バブル期以後の日本の

歴史的現実のなかの精神風景と

ぴったりと重なるものでもあったので

クラシックなどあまり聴かない人々の気持ちも

惹きつけたのだろう

 

鎮魂歌であり

それ以上に

流れ続けて薄れていく

線香の煙りのような

曲たち

 

どちらの代表曲も

根のところで

とても

さびしい

 

武満徹の作り残したものの

継承と乗り越えの試みという面も

大きかったはずだが

そもそも

日本の詩歌や音曲は

さびしさと心のうら寒さの探求なので

(これを

侘び寂び

などと

呼んでみる人たちも

いる)

日本の伝統に

じかに

沿ったものとなった

ともいえる

 

「口語の時代は寒い」

 

一般人にも伝わる詩を書いた詩人として

おそらく最後の詩人

荒川洋治は

昭和の高度成長期の終わりにこう書いたが

 

その後に来た

バブルの時代も寒かった

 

こころの時代とやらも

寒かった

 

異常なほど

といわれもする

酷暑も

寒かった

 

あなたたち

みんな

寒い

 

 

 

 

https://youtu.be/TK1Ij_-mank

 

https://youtu.be/gSuHD4jzNJ0?si=HIYxBYywH8CaS4eN

 





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