坂本龍一と久石譲は
なにか大きなことや大事なことが
すでに終わってしまったあと
なお流れ続ける心情を伝えようと作曲しているように
聞こえてくる
人生のメインとなるイベントが終わってしまった後の
無人の風景や
動きの停止した世界を
流れていく音楽
バブル期以後の日本の
歴史的現実のなかの精神風景と
ぴったりと重なるものでもあったので
クラシックなどあまり聴かない人々の気持ちも
惹きつけたのだろう
鎮魂歌であり
それ以上に
流れ続けて薄れていく
線香の煙りのような
曲たち
どちらの代表曲も
根のところで
とても
さびしい
武満徹の作り残したものの
継承と乗り越えの試みという面も
大きかったはずだが
そもそも
日本の詩歌や音曲は
さびしさと心のうら寒さの探求なので
(これを
侘び寂び
などと
呼んでみる人たちも
いる)
日本の伝統に
じかに
沿ったものとなった
ともいえる
「口語の時代は寒い」
一般人にも伝わる詩を書いた詩人として
おそらく最後の詩人
荒川洋治は
昭和の高度成長期の終わりにこう書いたが
その後に来た
バブルの時代も寒かった
こころの時代とやらも
寒かった
異常なほど
といわれもする
酷暑も
寒かった
あなたたち
みんな
寒い
https://youtu.be/gSuHD4jzNJ0?
0 件のコメント:
コメントを投稿