冷たい蕎麦が
とぅるる
食道を落ちていく
気持ちいい
春に
またまた
なりにけるかも
なりにけるかも
みんな
しあわせごっこをしているだけ
比べあって
こっちとむこうと
どっちがしあわせかと
ぶつぶつ
つぶつぶ
判定しつづけているだけ
さいごには
でもこっちがしあわせ
こっちこそ
真のしあわせ
などと〆たがって
あんな中で
どうして生き残れたのか
そうしてまた
あんな安全なところで
どうしてひとりだけ
逝ってしまったか
からだだけが
わたしのいのちと思うかぎり
いつまでもほんとうのからだは
把握できない
ここに
このようにいるふしぎ
あそこに
あのようにはいない
ふしぎ
空も地もからだで
肉体の息の根を止めようとするものさえ
からだだと知るまで
わたしたちの学びは続く
伸び続けたすえの
枝の先の先
開いた花のめしべの先の
つやつやした
ネバネバ
わたしはそれに過ぎず
遠い遠い
ふかい大きなからだから
ほそく伸びてきたに過ぎないと
知るまで
紅葉が
チョコレートのジェラートに
すこし凍え
コバルトブルーに
なり切る夢
たえず
微細に震え続ける
細い糸が
目に触って
かすがす
かすがす
意味もよくわからないまゝ
発していると
赤紫の深い色の車が
ゆるりと走り来て
だれかを攫っていくとともに
だれかを降ろしていった
夢
これも
背の
シャツの襞を
触っていたのは誰?
目に見えなくなったからといって
見えなくなった
わけでは
ないでしょ
暗い午後の船着場の倉庫に
行かなければいけない
行かなければいけない
けれども
雑草の疎らすぎるのは心ぼそいなぁ
もっと
あの人の肌に触れておくべきだったと
後悔
ではないが
心ぼそい
(太陽も
(長いこと上っていなくて
掌の
(しかたなく
ある個所を
すこし強く指の先で
爪先で
押してみては(たぶん、ふいの泉
(湧出などを
(願って
(いる
ただの思いつきから
古い感傷的な詩を気取るように
(ちょっと猥褻さも伴って
処女!
と言ってみる
処女!
処女!
と
ガーゼでできた大きなローブを着て
どこか恐ろしい人影が
しだいに近づいてきて《処女!》となるように
いや、ならないように
処女!
処女!
とまるでお祓いのように
孤独やさびしさはクリームソーダの色どりによく
ヤシの木から下りてきたポンスを
みじかい時間なら引きつけておけるだろう
やつが飽きてしまったら
それはそれ
またいつもの問題のぶりかえし
真夏の大都会の雑踏のなか
サングラスをちゃんとかけさせ
めんどうでないなら日傘もささせて
ジャンヌをやらせよう
しろっぽいワンピースを着せて
なにか人生に目的でもあるかのように
きびきびとしたはや足で
数十区画を廻らせればいいだろう
戻ってくる頃には
クリームソーダが溶けて温くなるように
わたしなど死んでしまっている
もちろん夜になれば生まれかわるから
はやまって葬儀など頼まないように
死体は放っておいてくれ
ラフマニノフの交響曲第2番の第3楽章でもかけて
夏の夕暮れを見守っていてほしいところだが
ただ風に鳴る鉄箸を響かせておいてくれるほうが
よほどいいかもしれない
とにかくクリームソーダが大事で
とにかくそういう時代なのさ
とにかく
とにかく
なにかの間違いで
エネルギーのあり過ぎるように
見える人たち
人間のつながりということについて
まだ希望を
持ったりしているのらしい
以前なら
それを
茶を飲みながら眺めたが
いまは
真水を飲みながら
それを
眺めない
パットン将軍は言っていた
「もし戦争がなくなったら
「われわれはどうやって生きていけばいいんだ
そう、もし戦争がなくなったら
軍人は職業を失う
食いぶちを失う
しかし
それ以上の意味がここにはある
わかるまい
この世だけしかないと信じている人には
ほんとうに戦争だけのあの世があり
軍人100パーセントという魂がある
そういうところから
この世に来ている大勢の者たちもいる
だから
戦争をなくそうという思いも
スローガンも
あまりに深い深い理由から意味をなさない
戦争反対、だの
平和を守れ、だのは
情況と締めつけがまだまだ甘いうちの
戯言
ほんとうに始まれば
雄弁家さんたちはみごとぴったり口を閉ざす
戦争万歳の側にいつのまにか紛れ込む
できることといえば
なんとか目立たなくするだけ
あとは巻き込まれ
蹂躪され
殺し殺され
大事なものを失って
ぼろぼろ
死んでいくだけ
さあゲームのはじまりです
戦争反対と叫んでいるあなたが
どのあたりから
どのように
万歳を言い出すか
仕事や家や家財や家族を失いそうになったら
あなたはどこまで
主張を続けられるか
そんな見せ場が満載のゲーム
人類にはおなじみのいつものゲーム
大昔から先祖代々慣れ親しんできたゲーム
さあゲームのはじまりです