ひさしぶりに
本多猪志郎監督の
というより
むしろ円谷英二の特撮による
というべき
『ゴジラ』(1954)を思い出してみた
あの暗い映画は
大人になって見てみると
子ども向きの怪獣映画だというのに
人間のどうしようもなさをなかなか鋭く抉っていて
けっこう大した挑戦をしていた
とわかる
それでも
わざわざ映画に貴重な人生時間を費やす時に
わたしが見たいと望むような
映像の美しさや展開の奇想天外の面白さがまったくないので
『ゴジラ』が好きかどうかと問われれば
「べつに」
と答えるほかない
あの後もたくさんゴジラ・シリーズは作られ
円谷英二の特撮は
子どもの頃には面白がったものだが
大人になってみれば
「べつに」
としか反応のしようがない
近年に作られたゴジラ映画のあれこれの
あのレベルの低さは
もうどうしようもないもので
特撮だのCGだのの技術は進んだとしても
肝心のストーリーが下らな過ぎるし
登場人物たちの人間としての設定がダメ過ぎて
大人が二時間ほどかけてつき合うようなものではない
ああいう映画が公開される時には
映画会社が金をかけて大宣伝をするし
映画評論家だのタレントだのが
しっかり裏金をもらって褒め称えるので
なんだかすごい映画ができたかのように見えるが
結局は大がかりな宣伝の渦がまわっているだけなので
実際に見てみると
なんだ、これは?
というひどいものが多い
ひどいといえば
ひと頃話題になっていた歌舞伎を扱った映画『国宝』は
あれは本当にひどかった
テレビでもSNSでも
どこのタレントも映画評論家も俳優たちも
みんなこぞって褒めているし
制作にも手間暇かけて大変なものが出来た
というような世論づくりがなされ続けたので
歌舞伎の好きなわたしもちょっと期待したものだったが
実際に見てみると
昔懐かしい昭和やくざ映画路線臭い画面の雰囲気で
人物たちの心情がどれもこれも古臭く
ストーリー展開も予想通りにしか進まず意外性がまったくなく
だいたいふたりの主要人物を演じる役者の演技が
いい悪いではなしにまったく歌舞伎役者っぽくなくて
よくもまあ監督はこんな演技と撮り方を許したもんだな
と驚き呆れて40分あたりからもう馬鹿らしくなった
歌舞伎がまさに他のなにものでもなく歌舞伎である本質は
舞台の上での演技の際の
あのあっけらかんとした不自然さと
生身の人間が演じている感じの希薄さにこそある
役者の人となりや人生や思想や感情などまったく必要ない
物語世界にしかいない非現実的な架空の人物を
役者はけっして自分の中に取り込まずに
よそよそしく外面的にのみ演じてこその歌舞伎であって
俳優と役柄とがぴったり合ってしまっては歌舞伎ではなくなる
舞台の上でただ役柄だけがみごとに存在してくれればいいので
人間としての俳優などどうでもいいのだ
『国宝』という映画はここのところがまるでダメだった
ふたりの映画俳優が極限まで歌舞伎俳優のように演じようとするのを
えんえんと二時間ほど撮ったもののほうが
よほど面白くなったはずだろう
ゴジラに話を戻すと
昨今の下らなすぎるゴジラ映画の枠を飛び出して
山田風太郎に負けないような
なんとかブッ飛んだ面白さを獲得できるような発想はないものか
とつらつら考えるうちに
そうだ!
ほとんど時を同じくして制作されていた『東京物語』(1953)から
あの大女優・原節子を借りてきて
そうして東京に上陸してくるゴジラと戦わせたら
これは面白いものができるにちがいない
と思いついた
原節子が巨大化して
首都東京でゴジラを迎えて
イップマン顔負けの大取り組みを行うのだ
名づけて
『ゴジラvs原節子 Tokyoの大決闘』
で
どうだ?
「これ、ミリオン、行くかも」
という
石井克人のあの至上の名作映画『茶の味』(2004)の
武田真治のセリフが
震えるほど幸福に異常な
忘れがたい聖なる「山の歌」とともに
響いてくるような気がする
The Taste of
Tea (茶の味)Trailer
https://www.youtube.com/watch?v=Da6FJH7IkNA
The Taste of
Tea (2004)- Mountain Song (HD)
https://www.youtube.com/watch?v=rc_mYd5VFYE
茶の味 三角形
Triangle Song
https://www.youtube.com/watch?v=mIVcyCVktSs