2013年8月14日水曜日

かわいかっただろう人






若くないのはわかる
片目は瞳が白い
白内障なのだろう
かなりの歳かもしれない
けれども
とても若くもみえる
黒いTシャツ
体にフィットして
やはり黒い
レギンスが脛の半ばまで

左腕には
静脈瘤だろうか
瘤がいっぱい
ブラウンに染めている髪は
ばらばら
短めに
切り揃えてあっても

乗り込んできてから
ずっと落ち着かず
ちょっとおどおどして
出口のドアに
寄り添って
中を見まわしたり
外を見たり
こちらを見たり
ちょっと目が合ったり

精神の均衡を
少し崩しているのか
気にかかっていることが
あるのか

また外を見ている
こちらを向く
目を逸らす
また外を
また中を

荒川線の向原駅で
下手なドラマの役者のように
型に嵌った
そそくささで
そそくさと
降りて行った女の人

若くないのはわかる
片目は瞳が白い
かなりの
歳かもしれない
けれども
とても若くもみえる

顔のかわいい人
もっと
かわいかっただろう人

楽な暮らしで
ないのが見える
ありありと
落ち着かない心で
いるほかない
らしい
暮らしぶりが

顔のかわいい人
もっと
かわいかっただろう人

ずっと
見ていたいような
かわいい人
もっと
かわいかっただろう人

楽な暮らしで
ないのだとしても
精神の均衡を
少し崩していても
気にかかっていることが
あるのだと
しても

ずっと
見ていたいような人

かわいかっただろう人








2013年8月12日月曜日

お洒落、ね!






結論さえ
出さなければ太陽はすずしく下りてくるから
まるい衣裳を
凪の海に(十分に浅いところ、でも、3メートルぐらいは
あるかしら、ね、、、、、)浮かべて
乗りたいなぁ
乗りたいなぁ
思いながら陽光の反映を
キラキラ受けている
しあわせな時間、 …………、……、

どの人も
海で陽をキラキラ浴びている時には
もう自分の死を
先に経験してしまっていると
云います(、よ)

漠然とした話ではなく
具体的な
その人たったひとりの
はっきりした死の様子を経験するのだと
云うのです(、よ)

ひかりも
水も
死ではなかったですか?

いまのあなたの
どこが
生きているというの
です?

すずしい死、いいですね

暑い死も、いいです(、よ)

冬瓜を
こっくり
こっくり
煮詰めながら
また
時間を
死んでいこうと
なさるの?


お洒落、ね!

    
   



2013年8月10日土曜日

きみの無数のしぐさや言葉から





  
きみの厖大な作品のうちから
たった一編だけ選んでくれ
詩人よ
それひとつを記憶し
それだけできみを評価するから

きみの厖大なブロマイドのうちから
たった一枚だけ選んでくれ
女優よ
それひとつを手元に置き
それだけできみを思い出すから

きみの無数のしぐさや言葉のうちから
なにも選ばないでおくれ
愛するひとよ
きみのすべてを忘れないから
思い出しも評価もする必要がないほど





               

2013年8月9日金曜日

ないづくめ




  

まぁ、悟りをひらくとか
どうとかいうのも
アヤシイことが後ろに山とありそうだし
巧みな自我の姦計に
ひょんなところで陥ってしまっていないかどうか
そっちのほうも
いっそうアヤシイことだらけだが

大悟した先生がたがおっしゃることには
ひとつ
共通したことがあって

世の中への批判を
すっかり止めてしまいなさい

っていうんだな

批判をやめたら
世の中はどんどんひどくなるばかり
ちがいますか?

なんて聞いたら

ほんとうにそうかどうか
まぁ、先ず
一週間ほどやってみなさい
ほんとうに
他のだれそれのではなく
あなたの批判がなかったことで
世の中はひどくなったのか
一週間後に
吟味してみなさい

などと
きっと答えてくる
さらに続けて

もし一週間やってみて
はっきりしないようだったら
こんどは一カ月
さらに二か月三か月
それでもはっきりしないようなら
いよいよ一年間
きっぱり
すっきり
世の中の批判をやめてしまいなさい

一年間…ですか?

そう
一年間
あなたの批判がなかったことで
世の中がひどくなっても
一年間なら
まだ間にあう
がんばって批判を大量生産すれば
世直しもできるだろう

けれども
たぶん
一年間も批判をやめれば
あなた自身が
変わるはず
わかるはず
あなたの批判なんて
世の中にはいらなかったし
あなたがしていたあれこれの批判は
腹黒い連中だとあなたが思っていた専門家のほうが
なるほど計算含みとはいっても
よほどうまくやれていたということも

それよりなにより
一年間も
世の中の批判をしなくなった
あなたの変化こそ
世の中を
ほんとうに変えはじめていることを

あなたには気づきづらくても
あなたの性格や
ふるまいの変化が
まずは身近なところから
じわじわと
人びとを変えはじめていくことを

…と
これは
大悟した先生がたがおっしゃること
ほんとうかどうか
わからない
責任もとらず
書いただけ

そういえば
こんな話も聞いたっけ
生理学者の誰かから
批判ばかりをする人は
血が酸性化するし
血圧は上がる
胃だって荒れるばっかりで
肉体面でもいいことは
ない
ない
ない
ない
ないづくめ











2013年8月7日水曜日

豪雨をもたらす雨雲の接近に




 
雨が来るようだ
西から
南からも
豪雨になる場所があるかもしれないと

うるわしいような気持ちで
そんな予報を聞いている
豪雨をもたらす雨雲の接近に
まるで生まれかわりでもするような
はげしい喜びのつきあげを覚えながら

気温も高いままだろう
さらに高くなり
ゆたかな湿り気が流れ込むだろう
そんな予報を聞きながら
孵化する前の卵の表面のような
内側からの罅のひろがりを感じている

これまでの自分など
これからの自分には
古びたそんな殻に過ぎず
まだまだ内側から湧き出て膨張していくものが
近づく雨や気温の高まりとともに
変態を遂げていこうとしている

語る言葉に言葉をなめらかに
あるいは
ぎこちなく
次々とくり出し続けて
一文一文の長さを延長していくべき時
長い長い弁舌のひとりごとを
古びた殻をまだおずおずと纏ったこれからの自分に突きつけながら
豪雨をひき起こすべき時








2013年8月6日火曜日

している?



  


忙しくても
忙しいと言わないでいたら
どうも
ひとりだけ


うららしている

夏でも
冬でも


秋は
いうまでもなく

じぶんにとっての
いま

他の人びとのそれとはずいぶん違う

見られないことに強くなって
生きておいき
見られようとするから
きみも
あなたも
そんなにも間違う

うらうらしている?

ひとりだけ


している?


                             
   




2013年8月5日月曜日

いいお日和ね








写真が球体に
キスし
一抹の不、不、不安が
ようやく
花開いてきている

雑居ビルの
遠くに見える
辻公園で

待ってて、ルシアン…

藤の花の
ことしの思い出を
たっぷり吸って
区切りの
よいラヴしちゃって
土のついた
靴先
いいよね、泥
泥!
泥!
なんか生き返る気持ちだ、通俗に
うきうきなんか
しちゃって
姉もね
アネモネ、膣に挿して
ううううううっ
とは
言わないで

(バッカジャン、ことば、ことば、ことば、だけなのよォ…

なんにも
ないのに
なに
モウソウしてんだよ
もうそう爺ちゃんお婆ちゃん
船出
好きだから
言います
船出
船出
商店街はいい日和、おはぎがお安いいい日和

待ってて、ルシアン…

(待ってるよ
(待ってるよ
(待つだけの
(ルシアンの

いい日和

ことばは寿ぎでもあるので
いい日和
なんて
ときには言ってみるのがいいわね
毎日言ってみるのも
いいのにね

いい日和

いいお日和ね