脇道や寄り道やまわり道は
しばしば
脇未知や寄り未知でまわり未知で
ふいの深みに入り込む
恰好の扉や入り口であったりもするものの
深みをそのまま価値と信じた
若さのゆえの心の浅さも
ところどころ干からびてくる頃には
脇道や寄り道やまわり道のどれもこれもが
じつはただの
脇道や寄り道やまわり道と呼ぶべきものに過ぎなかったと
散りはじめる桜の花びらのひとつひとつのように
はらはらとわかってくる
本道に帰ろう!
幹線道路に戻ろう!
などと思う気概さえもはらはらと
見ようによってはうつくしく
ひたすら儚く散りつづけて
旅はもう旅とも呼べぬ旅
若ければ底知れぬ魅力もあるさまよいも
もはや果ての果て
かつて此処にはわたくしというものありきと
胸や頭に触れてみても
いずれ焼かれて捲れ上がっていく肌が
まだ温もりを保って
いくらか皮脂を湛えてあるばかり
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