2026年3月7日土曜日

ないものたち 遠いものたちのおかげで

  

 

 

広瀬川白く流れたり
時さればみな幻想は消えゆかん。
われの生涯(らいふ)を釣らんとして
過去の日川辺に糸をたれしが
ああかの幸福は遠きにすぎさり
ちひさき魚は眼にもとまらず。

萩原朔太郎 「広瀬川」

 

 

  


 

どこだったか

花屋の店頭でミモザを見かけたが

東京の街路では

めったに目にはできない

 

そうか

ミモザの季節だったか

花屋の前を通り過ぎながら

かろうじて

思い出させられる

ばかり

 

38日の「国際女性デー」は

「ミモザの日」とも呼ばれるらしいが

このあたりの情報は

わたしにはいつまでも外部情報の域に止まってしまっていて

イタリアでのように

男性が女性へ感謝の気持ちを込めてミモザを送る

ような近しい思いにまでは

なかなか育たない

 

そういえば

エリカの花期も

春の今ごろではなかったか

と思い

ちょっと調べると

たしかに春先ではあるものの

エリカ属には四季おりおりが花期のものもあるらしい

 

ミモザといい

エリカといい

日本にはなかった花の

異国趣味そのもののような名にあこがれて

美しき惑いの年を過ごした頃

自分のまわりに本当にはないものたち

あってもあまりに遠いものたちに

あれほどたくさん囲まれて

ないものたち

遠いものたちのおかげで

なんと豊かに

こころ潤って愉しく

わたしは生きたことだったか!







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