酒場だが
そこそこ立派な建物だ
といえる
太い木材を使った建築で
二階の席には
手すりに寄りかかって飲んでいる客もいる
座れる席は
いくらも見つかるが
ほぼ
満員と見えた
一階でも
二階でも
客たちはみな
すでに
ずいぶん飲んでいる
ようだった
身を前に倒し気味にして
コップやグラスを握っている者もいたし
元気そうに胸を張って
飲み続けている者もいたが
かなり寄っているのがわかった
だれか探しているかのように
ゆっくりと
進んだり
止まったり
時には後退したりしながら
わたしひとり
一滴も飲んでおらず
もちろん酔ってもおらず
歩きまわっていた
座って飲んでいる者も
立ったまま飲んでいる者も
飲み疲れて
テーブルに肘をついて休んでいる者も
歩いていくわたしを見ると
なぜこいつだけは酔っていないのか?と
いくらか
視線に敵意を帯びさせた
とはいえ
だれもみな
酔ってちからの芯が萎えていたので
恐れる必要はなかった
そろそろ
わたしもなにか飲もうか?
そう思いながら
ともに飲むのによさそうな女を
さがした
男と女で
いっしょに飲むのだけが
しきたりのようになっている店なのだ
そろそろ
飲もうか?
だれと飲もうか?
なにを飲もうか?
そう思いながら
ひとりでいる女をさがして
歩き続けるのだが
飲んだところで酔わないだろう
酔ったことがないのだ
飲んでも
酔ったことがない
飲む時はいつも
飲むのにつかれてやめるか
飽きてやめる
酔うことはない
どうして人びとが
こんな容易に
酔うことができるのか
わからない
……かなり長いこと見ていた
夢の
話である
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