2014年1月6日月曜日

わたくしめの可能性のたましい…


  
水筒の森に
かかか
と啼き渡る翠鳥
その声の
かかか
と流れていくほうを見て

滝!

に逢う

水筒の森に!
水筒の森に!

棄てられた
水筒の林立する森に!
(そう、
(戦中からね、
(いや、戦前からね、
(いや、近世からね、
(竹のね、
(ひょうたんのね、
(……

水筒の森に!
水筒の森に!

かかか
かかか
かかか

(名前ハマダ無イ
(イマデモ無イ

かかか
かかか
かかか

(タダ耳ヲ澄マセル人、…

かかか
かかか
かかか

水筒の森に!
水筒の森に!

ごく個人的な話には踏み入らないでおくが
愚かな登場人物ばかりの
生で御座りましてな、
水筒の森など妄想いたしまして
水筒の森に!
水筒の森に!
などと叫んで村を駆けまわっているあの父が最後の
家系……

(ではわたくしめは何だとおっしゃる?
(はい、わたくしめは居ない者、
(ついに生れなかった者、
(あの父には嫁は来ようもなかったのでございますからな、
(わたくしめはただの可能性、
(ついに生れなかった者、

かかか
かかか
かかか

啼き渡っていった翠鳥は
わたくしめの可能性の
たましいで御座いましたかもしれませぬな

かかか
かかか
かかか

水筒の森に!
水筒の森に!

啼き渡る翠鳥
駆けまわる父

最後の家系でござります…

可能性でござります…

わたくしめの可能性の
たましい…





信頼できるかもしれないものに



古典以外
もう
ひとの詩を読むことは
なくなった

知りあったひとから
もらうと
読む

ちゃんと
読む

この世に
もう
友はいないが
詩友はありうる

おしゃべりの言葉より
そのひとなりの
やすりで
布で
はるかに
磨かれた言葉

磨きぐあいに
心が宿る

戻らない時間を費やし
磨かれると
ひょっとして唯一
信頼
できるかもしれないものに
言葉はなる

そんな言葉が
いくらか
手もとにあれば
ネット上にあれば
十二分に
ゆたかと思う

他にほしいものなど
ない

ほんとうに                                
   




じぶんに


騙されているんじゃないか
損な分け前に与っているんじゃないか
利用され搾取されているんじゃないか

などとネットに書き込んで
おだを上げている
じぶんに

時間と
力を
まずは奪われているんだよね





解決



しあわせについて
不幸について
古い古いアルバムを開くように
思い出すこともある

でも
いま生きていて
(生きているような
(気になっていて
こんな古い古いアルバムを
取り出して
開いてみている

とうに解決してしまっている
幾千もの
古い古い問題

これだけの
ことで






2014年1月5日日曜日

ひとりで住むなら



へんぴなところでいい
ひとりで住むなら

同居者というものに
はじめて気がねせずに
あれも不便
これも不便
そんな住まいを
ひとり楽しむ

なかなか
向きあえないできたじぶんを
へんぴで不便ながらんどうの住まいに
むかえに行きたい
ほんとうに耐えに耐えてきたのだ
朝も昼も夕も
たったひとりになれるときを待って
しかたなしに
深夜から朝がたまで起きつづけ
手に入れてきた
ひとり

なつかしいひとも
だいじなひとも
また会いたいひとも
いない
じぶんといるのを
じゃましてきただけの
ひとたちだから

へんぴなところでいい
ひとりで住むなら

同居者の食事も
洗たくも
けはいも気にせず
気がねもせず
ひとりだけで生きる
あれも不便
これも不便で
けっこう
帰る時間ももう伝えず
待ちあわせることも
もうない
わかちあいなどせず
わかりあいなどせず
共鳴も
説得も
いらない

ひとはひとりでは生きていけない
なんて、うそ
ひとはひとりでしか生きてはいけない
じつは

政治のすべても
ここからしか始まらない
家族が
子が
親が
と言っているあらゆる連中に死を
終焉を
あらゆる集団性の消滅を

たったひとり
たったひとり
たったひとりに
万人が平等になる明るい未来を!
よき新年を!                                 
   




こんなこと

  
カッワイイ、と言っておけばいい
すてきですね、と言っておけばいい
みごとな御作で、と言っておけばいい
いいセンスですね、と言っておけばいい
まあすてきなお家、と言っておけばいい
けっこうなお手まえで、と言っておけばいい
かっこいいナァいつも、と言っておけばいい
かなわないなあホント、と言っておけばいい
いつもお美しいことで、と言っておけばいい
ほんとにいいお子さんで、と言っておけばいい
ほんとうにオシアワセで、と言っておけばいい
なんて才能ゆたかでいらしゃる、と言っておけばいい

こんなこと
わざわざ言わなくってもいい人たちに
もっともっと出会えるまで





正月五日

  

正月五日
正月五日

暮れないうち
暮れないうち

すうぱあで
すうぱあで

人参ふたふくろ
レタスふたたま

極薄切りの豚肉
なんぞを買って

かえってきたよ
かえってきたよ

暮れないうち
暮れないうち

正月五日
正月五日

かえってきたよ
かえってきたよ