2024年8月11日日曜日

夏の李白


 

 

夏の

李白は

こんなふう

歌う

 

暑くって

白羽扇で扇ぐのさえ

ものういよ

ここは林の中だし

まわりは

緑が生い茂っているばかり

上半身は脱いで

裸になってしまおう

頭巾も脱いで

石壁のでっぱりに引っかけちゃおう

松風に

頭を晒して

すうすう

ぞんぶんに

吹かれることにしようか

 

 

夏日山中 李白

 

嬾搖白羽扇

躶袒青林中

脱巾挂石壁

露頂灑松風

 

 

白羽扇を搖かすに嬾し

躶袒す 青林の中

巾を脱して 石壁に挂け

頂を露して 松風に灑がしむ

 

 

酒好きの李白なのに

上半身裸になった程度でやめているのが

控えめといえば

控えめ

 

後漢の劉松などは

酷暑の三伏ともなれば

昼といわず

夜といわず

袁紹の子弟たちと痛飲して

暑さを避けたという

河朔の飲だの避暑の飲だのと

言われる故事がある

 

しかし

冷えた生ビールなどない時代なのだから

下手に酒を痛飲したら

汗がよけいに出て

べたべたしやしないか

などと思ってしまう

どんな酒を

どんなふうに飲んだのか

ただひたすら酔って

暑さを忘れてしまおうとしたものか

 

 





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