2026年8月2日日曜日

しんしんと雪が降り続いている



 

コーヒーを淹れて

書斎の机まで持って行った

 

(書斎といっても

居間とひと続きで

机に座ると

居間がすべて見わたせる)

 

(しかし

出入口は異なっている)

 

(居間と書斎の間の戸を

閉じておくこともできるのだが

住みはじめて以来

開きっぱなしで

閉じたことはない)

 

ついさっき

仕事の小さなひとくぎりがついて

コーヒーを淹れに

キッチンに行ったのだった

 

机にコーヒーを置き

返信すべきSNSがあったのを思い出し

スマホを手に取ると

(よくあることのひとつ)

気にかかるスペインのセウタCeutaへの

モロッコ人の大量流入についてのX

解釈や主張の異なる書き込みが目に付いて

数十を見ているうちに

(あまりに神経が疲れていたものだから)

座ったまま

眠ってしまっていた

 

さて。

 

記しておきたいのは

寝落ちしてしまったことでもなく

セウタ危機のことでもなく

それについての見解の異なる書き込みの間の

問題点でもない

 

寝落ちから

フッと目覚めると

(不思議だ

いつも思う

なぜ目覚めるのか?

なぜ永遠のほうへ失われたままになって

しまわないのか?

まだ?)

コーヒーが目に付いた

 

(なんの不思議もない

さっき自分で淹れて

机の上に持ってきたのだ)

 

そうだ

少し飲もう

 

そう思って

カップに手を伸す

右手を伸す

 

濃い焦茶色の

コーヒーの

静かな表面が見える

 

伸した右手を

しかし

止めてしまった

 

驚いたのだ

 

コーヒーの表面に

雪が

降っていて

しんしんと

丸い

夕暮れの暗さが

領していた

 

このカップには

まだ

手をつけず

机の上に置いたままに

してある

 

しんしんと

雪が

降り続いている

 



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