しょせん
ようするに
結局
だって
だからさ
などと
言おうとする
書こうとする
雪が
季節はずれにドカッと降って
凍りついて
剥がれ落ちてしまえばいいのにみんな
言語野から
つまらないんだ
これらの
現われた後のことば並びの臭いが
つまらな臭を
かならず
放っちゃうんだ
しょせん
ようするに
結局
だって
だからさ
などと
言おうとする
書こうとする
雪が
季節はずれにドカッと降って
凍りついて
剥がれ落ちてしまえばいいのにみんな
言語野から
つまらないんだ
これらの
現われた後のことば並びの臭いが
つまらな臭を
かならず
放っちゃうんだ
ぼくらはすぐに
心
ということばを使ったりする
精神だとか意識だとか思考だとか
英語でマインドだとかも
それらが
ろくなところへ行き着かせてくれないことは
もう
大人ならだれでも知っているのに
いつまでも
心
なんて言っている
精神だとか意識だとか思考だとか
英語でマインドだとかも
野菜の話でも
したほうが
よっぽどいいと思うよ
そういえば
昨日
キャベツをまるごと買った
97円だったから
97円?
なぁんだ、高いなあ
なんて
言う人がいたら
うれしいなあ
そんな人のほうが役に立つのだ
役に立つってのは
いちばん
愛
だものな
ようするに
おれはおれで切れちまったってわけよ!
と
そんなふうに言いたくなる時も
いっぱいあるけど
洗濯してパンパンにしてペラッペラに干してきたわけさ
感情なんてものは
いつも
お利口さんに
お利口さん気取って
べつにもう小学校の山本先生に嫌われないように
なんて
気をつかう必要もないっていうのに
で
山小屋にぼくらは急ぐ
なんで
突然「山小屋」が?
って
思うでしょ?
なんでかっていうと
突然ってのが面白いじゃないかさ
しかも
「山小屋」だぜ!
突然「山小屋」ってのが
いいじゃん?
もう
カッコなんか取っちゃってさ
突然山小屋
で
いいと思うね!
これで行こう!
なんたって
突然山小屋!
これだ!
これ!
単純で澄んでいて若かった頃に
帰りたい
なんて
それほど思わない
いまもあまり変わらないから
複雑になったとか
汚濁の中でずいぶん濁ったとか汚れたとかスレたとか
思いたいかもしれない部分が心のダサイどこかにあるかもしれない
結局たいしたことない
クレジットカードも持たなかった頃や
革靴を買うならこういうのじゃなきゃみたいな蘊蓄を持たなかった
たしかに地球といっしょに太陽のまわりを何度も廻ってきたとはい
近くの公園のあそこにある木ほど老いてもいない
老子にはまだまだ遠いし
モアブの谷に葬られたモーゼほどではない
ノアが箱船を作ったのはたしか600歳だったようだし
寒山拾得なんかは幾つだったんだろう?
彼らほどの歳にも
いったのかどうかわからない
ようするに
単純で澄んでいて若かった頃に
まだいるということになるにちがいない
ノアの年齢ぐらいに達してから
まれに暇ができたりして
歳月の後ろをふり返ったりする頃から見れば
そう
その時には「過去」を保持できるのかもしれない
ボルヘスが言ったことを思い出せば
「過去とはおそらく人間が過去について考える瞬間にすぎない」
という
彼のあの言葉を
まだまだここからがいいところ
奥田民生+PUFFY
雨が降って道が濡れると
車道なんかずいぶん賑やかになる
なにかが生き返ってくる
タイヤのゴムと雨水は相性がいい
雨水はすぐに歌い出すのだ
ブーゲンビリアなんかが
道路の近くの壁に伸びていたりすると
あの派手な赤や紫が雨を喜ぶ
道路から跳ねる飛沫やタイヤの音や
花の色までがいっしょになって
なにもかもが生き返ってくる
そうしてまだこれから来るものたちが
陸続と押し寄せてくると告げるのだ
犬たちがその事を知っているのだ。
アルチュール。
時が来た。
会ってくるぞ。
今度は勝てる。
ジャン=リュック・ゴダール『ゴダールのマリア』(1984)
ぼくら
ふたたび長髪にして
擦り切れたジーンズにやっぱり戻ることにして
べつに吸いたくもないんだが
煙草
いつも燻らすことに
しようぜ
で
待つことにする
あそこや
あっちの喫茶店なんかで
煮詰まった味のブレンドを啜りながら
時には
ちょっと高い
マンデリンとか
キリマンジャロとか
モカとか
頼んじゃって
待つことにする
みんながみんな来なくっても
あいつとか
ほら
なんとかいったあいつとか
そのあたりが
ひょいと顔を出すのを
待つことにする
やっぱり
何人か揃ってからさ
そうしたら
はじめる
またはじめる
もう終わっちゃったなんて
言ってないだろ
ノートもペンもいつも持ってる
いつだって
準備はできてる
だから
待つことにする
ひょいと顔を出して
また
何人かが揃うまで
あいつとか
ほら
なんとかいったあいつとか
もう福沢諭吉だ
サフラン畑ぐんぐん!
おう!
越中君!
ミニバイクで学校に登校してたろ?
学食ではたいていカツカレーだったろ?
レースのハンカチ(松本ゆりこさんの、あれ……)
見つめているのを
ぼく
見ちゃった
清純派!
きみのまなざしだけは!
汚辱国家の汚穢時代にあっても
きみのまなざしだけは!
清純派!
駅まで細い足で
ときどき蹴躓きながら歩いて行く松本ゆりこさんの
後ろ姿を
見ながらぼくも
ちょっと夢想するようだった
きっと将来は高層ビルがさらに林立して
だれもが豹を飼いたがるだろうトーキョーを
捨てもせずしかし留まりもせず
靴だけは堅牢な底のものを努めて履くように心がけて
そうして
胸ポケットには野の花だ
野の花を見よ!
空の鳥を見よ!
いつでも
いつまでも
馬鹿のひとつ覚えのようでいいから
それら
これやここやそれやあそこでないものへ向かう言葉を
つぶやき続けるために!