2019年3月21日木曜日

ゴメンねゴメンね

 
ばれちゃァしょうがねェ…
河竹黙阿弥 『青砥稿花紅彩画』


言葉を使う時には
べらべらおしゃべりするようでも
かならず抽象化してしまっているし編集もしてしまっているので
いつもイヤァな気がする

しゃべってる時は
たえず黒板消しや消しゴムでしこしこ消しながら
修正しながら
訂正しながら
ほんとに言いたいことに向かおうとしてる感じがまだするから
まだまだマシかもしれないけど
書くってなると
ほんと
どうしようもないほどイヤァな気がする

ひとこと
ふたこと
みこと
よこと(しこと…?)
ごこと(いつこと…?)
ろっこと(むつこと…?)
ななこと(しちこと…?)
はちこと(やつこと…?)
書いてくうちに
もうじぶんでさっきまで考えてたことと違うことが出現してきてるし
これを他人が読んだら
さらにぜんぜん違うことを読みとっちゃうだろうなぁ
と見るも無残な文字づらになっちゃってて
弁天小僧みたいに居直っちゃうしかないほど
最新式のキレイな便器の蓋あけたら
アヘアヘシンソウの顔が作り笑いして出てきやがって
ケツの穴ぁ舐められそうになるほど
イヤァな気がする

まったく
百鬼どころか千鬼の夜行
平安の末みたいな
妖怪の世とはなりにけりだゼ

(言葉のハナシしてたのに
(アヘアヘシンソウとか
(妖怪のハナシに持ってっちゃって
(ゴメンねゴメンね



ネット隠居


ああした遊びはみんなやってみた。
ル・クレジオ『愛する大地』


スマートフォンだとかタブレットとかで
もう誰もかれもが年中チコチコチコチコしていて
ぼくだって例外ではなくてチコチコチコチコしてるわけだけれど
通信機器っていうのか
端末っていうのか
文明の利器っていうのか
最先端のソーシャルギアーっていうのか
アップルのサイトの商品紹介ページなんか見ると
もっともっと凄いおいしそうなたくみな文句が並ぶけれど
ようするに
ちっちゃいのに無限に記事や番組が絶えない
総合雑誌+テレビ+ウォークマンみたいなものだから
けっきょくは競馬新聞を丸めて赤鉛筆を耳に挟んでいるおじさんや
「朝日ジャーナル」を鞄といっしょに持って歩く昭和の大学生や
「噂の真相」とか「週刊大衆」とか「月刊宝石」とかを
野坂昭如みたいなグラサンかけたまゝ煙草臭い喫茶店で開く系や
ワンセグができた頃にイヤホンつけて野球中継を見ている運転手系などと
まぁおんなじ構図にじつは嵌っているわけで
つくづくバカだよなぁ、時間やエネルギーを吸い取られっぱなしで
と思うほどには十二分にガジェット遊びをしたし
目はずいぶん疲れたし
ネット語っつうかスマホ記事的まとめ方っつうか言いまわしっつうか
そういうのにももうもうもう飽き飽きしたので
もうネット隠居します
って断言したいけどそうもいかないのはわかってるので
断言まではしないで馬鹿無能汚辱の代名詞のアベシンゾウみたいな
さんざんぱらの無責任な決意表明でもしとくかナ



2019年3月18日月曜日

はじめのうちは新鮮なしぐさとなって


 
通俗な物語の型から心身まるごと外れることの重要さ

つまずいて
倒れ
膝を擦りむく

この域に怠惰に身を置き続けるのをやめる
身というより
アストラル体を
メンタル体を
コザール体を

慣れ
ならい性
それらを本当に脱いでしまう

雨はたゞ降る
だけになり
体を濡らす
ことに
連結していかないまでに繋がりを解いてしまう

物語は溶解する

言葉は強力でシンプルな道具
装置

言葉から意味と感情をすっかり分離して
言葉からの反射を受けないすべを習得し切れば
ほぼ万能なスイッチが手に入る
配列のしかた次第で
最低限四次元の操作が可能になる

さあ
火をつけない煙草を吸ってから
マッチだけ擦ろう
マッチさえ擦らずに火を宙に出現させよう
あるいは
直接目的語なしに
吸うことをし
何万年も前の未開部族のある退屈した青年に
枯葉を巻いて火をつけて吸うことを思いつかせてみよう

それはいずれ数万年後にはうんざりするような物語素として固まるが
はじめのうちは新鮮なしぐさとなって
地上と天界を繋ぐだろう


戦いは静かだ


                                                                          
わかるべきこと
と
わからないでかまわないこと
の間で
惑わせる
もの
は
なにか?

悪魔と呼ばれてきたものがそこに本当にいる

“わかるべきだ”
“見えるべきだ”
“見通せるべきだ”
と
精神の
神経の
もっとも微細なところを支配して
力とエネルギーを吸い取っていくものはなにか?

これではない
それではない
あれではない
と
正確に悟らせるものだけに従う

戦いは静かだ



書きたいと最初に思ったことへは永遠に



本当にしゃべりたいことをしゃべれないので
しゃべる必要は本当はないのだと痛切に思いながら
いつも
曖昧なほほえみを浮かばせながら
人の話を聞いていたりする

本当に書きたいことだって
もし書けばたちまちぜんぶの人間関係は瓦解するし
仕事もすべて失うだろうから
書かないで
フィクションに逸れたり
添加物のような褒め言葉を塗りたくったり

そればかりではない

本当に書きたいことを本当に書こうとしても
書く行為は逸れと豹変を本性としているから
書きたいと最初に思ったことなど
いつのまにか書く行為そのものによって放擲されてしまっていく
数語進めば
数行進めば
もう別の時代が来てしまう

書きたいと最初に思ったことへは
永遠に行き着くことはできない



2019年3月15日金曜日

だいたい



人生はだいたいでいい
と
人生のポリシーにするのも
だいたいでいい

だいたいでいい
と
執拗に枠づけするのも
だいたいでいい

だいたい
恨みを晴らすぞ
報復をするぞ
なんていう心の動きこそ
だいたいでいい
もので
あってもらいたいが

ときどき人間は過度にやらかすもので
そういう時に
「理性的に!」
なんて
叫んでも
まず聞いてはくれないものだから

後の祭りになってから
歴史から学ぶ
とか
過ちはくり返しませんから
とか
なんとか
たくみな言い逃れや
聞いたふうなごまかしを
人類というやつは
し続けてきているわけだもんだから

基本
人生はだいたいでいい教は
ひろく
地上人たちに受け入れられている
といって
いいようですな

わたしもだいたい
あなたもだいたい
御先祖さまもだいたい
小や孫の代までだいたい
猫も杓子もだいたい
だいたい
だいたい



2019年3月14日木曜日

Bourbonなら


  
       「あの連中は、もっと早くあそこから追い出しておかなくては
            いけなかった。わが陣営のど真ん中で、どれほど多くのスパイを
            あの連中が匿ったものやら、わかったものではないからな」。
     ジョウゼフ・コンラッド『ガスパール・ルイス』(中島賢二訳)



国連の費用を一手に引き受けて負担するような意味で
アメリカの世界支配を財政的に
また
工業技術的に
つねに言い値で買い取る輸入先として
支えさせるだけのために
皮一枚で生き残らせることにした島国なのだからね……

と
たびたび聞かされたものだ
ニューヨークや
ワシントンや
このあいだ急いで行って帰ってきたボストンでも
(おバカな観光客風情を装えないかぎり
(各地での自撮り写真をネットに上げるなんて
(とんでもない!

そうそう、ブリュッセルでも
メイ首相がごたごた誤魔化し工作中の
ロンドンでも

♪せめては少しカッコつけさせてくれ
  寝たふりしてる間に出ていってくれ

と
ニャッポンジンたち
戦後の平和
という酔いを
長びかせられないものかと
もがいている

♪バーボンのボトルを抱いて
  夜ふけの窓に立つ
わけもない
わたし
どうしようかな

バーボンなんて
飲まないから
Bourbonなら浴びるほど飲まされた前世があるから

アメリカ独立戦争に巨額の財政援助してくれたフランス王家の名を
ジェファーソンが付けた群で
作られはじめた酒なんて
飲まなくても
浴びるほど飲まされ続けているから
Bourbonなら