2024年9月12日木曜日

犯人見~っけ

 

 

 

そもそも

「民主主義」の「民主」が誤訳である

というところが

漢字使用文化圏における

「民主主義」のお笑いのはじまりだったろう

 

漢字で表現しているから

中国語では

「民主」はどんな意味になるのか

まず考える必要があるのだが

かつての中国語では

「民主」は「民ノ主」となり

君主の事を意味する

この用法は

『書経』や『春秋左氏伝』に見られる

 

「デモクラシー」という言葉がアジアにも押し寄せてきた19世紀には

中国でも

この語の訳や理解には混乱があったようで

「民(たみ)が主」という語義と

「民衆の主(ぬし、すなわち民選大統領)」という語義が混在していた

と陳力衛が言っている

とウィキペデイアが言っている

このあたり

ウィキペデイアさまさま

である

 

ウィキペデイアに沿って

もうちょっと

楽しい話をめぐっておこう

 

日本では

1862年に作成された『英和対訳袖珍辞書』(堀達之助編集)で

democracy」にも「republic」にも

「共和政治」の訳語を充てていたという

「民主」という言葉の曖昧さを避けようとした

優れた判断だったといえよう

 

中国では

ロバート・モリソン(馬礼遜)編集の『華英字典』(1822)が

democracy」 を

「既不可無人統率亦不可多人乱管」

(合意することができず、人が多くカオスである)と説明している

 

ヘンリー・メドハースト(麥都思)編集の『英華字典』(1847)では

「衆人的国統、衆人的治理、多人乱管、少民弄権」

(衆人の国制、衆人による統治理論、人が多く道理が乱れていることをさすことがあり、少数の愚かな者が高権を弄ぶさまをさすことがある)

と説明している

「人が多く道理が乱れている」とか

「少数の愚かな者が高権を弄ぶ」とか

痒いところに手が届くような説明をしてくれていて

いやあ

ヘンリー・メドハーストさん

やってくれますナ

尊敬しちゃいまっせ

 

ドイツのロブシャイド(羅存徳)編集の『英華字典』(1866でも

「民政、衆人管轄、百姓弄権」

(民の政治、多くの人が道理を通そうとしたり批判したりする、多くの名のある者が高権を弄ぶ)

と解説している

「多くの名のある者が高権を弄ぶ」というのが

これまた

エグイ政治批判になってますナ

 

これらの辞書編纂者たちは

みな

政治学や政治史的に正しい訳や紹介をしようとしたのが

見てとれるだろう

 

そのかたわら

中国で『万国公法』(1863)を訳したウィリアム・マーティン(丁韪良)は

a democratic republic」 を

「民主之国」と訳してしまっていて

いわばここに

漢字使用文化圏での

「民主」にまつわるその後混乱の種が蒔かれたことになる

 

犯人見~っけ

といったところか

 

 



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