イエスはかがみ込み、
指で地面になにか書き始められた。
ヨハネによる福音書 8-6
国とは肌があわない。
こんなことさえ、国ではいわないで、
黙っている。
世の中から恩を受けたことって、ない。
きれいなたんぽぽ。
いまがいちばんいいってわけかな。
だんだん死んでいく。
でもいろいろ旅してみると
充実して死んでいけるところもあるとわかる。
わからないやつが国にしがみつく。
だれもいないのにふいに
煙草がにおう。
あれはすてきだ。
とつぜん荒野がひろがる。
遠いほど文明は貴重だ。
遠ざかるにかぎる。
遠くからなら
雲が雲にみえる。
やはり世界は劇だ。
大地も天空も狂っている。
まったく。
存在しやがって。
風なんていったい
どう考えだしたものだか。
みごとだ。
出る幕はもうない。
たしかに、ない。
きょうにんげんをやめた。
これからぼくのことばは
宝石に露に風になるそ。
書くそばから消え失せることばを
あなたは書き続けられるか。
[初出] NOUVEAU FRISSON (ヌーヴォー・フリッソン) numero 35 (1995年6月30日)
編集発行人 駿河昌樹
発行場所 東京都世田谷区代田1-1-5、ホース115ー205 〒155
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