2026年5月10日日曜日

道とはすでに異界である


  

 

車の往来の多い

すっかり夜になった表通りに沿って

舗道を歩いていく

 

道とは不思議なものだ

 

自分と同じ生存条件にある人間たちが

そこここを歩いており

同時刻

同じ場所を

行き交ってはいる

 

ところが

知っている人はふつう誰ひとりおらず

どこの誰よりも他人どうし

 

さらに言えば

他人という以上に

ただ「此処」の「今」をともにしているという他には

過去にも未来にも

仕事の上でも

どんな人間関係においても

人生的になんの接点も持たない

異界の者どうし

 

そんな存在たちが

右にも

左にも

前にも

後ろにも

蠢いていて

まっとうに「人間でござい!」

と見せている

 

少し時間が経ち

少し歩き続けて行ってしまえば

この地上で

金輪際見かけることもなく

顔をあわせることも

なくなってしまう

 

こちらも

むこうの存在たちも

同じ「人間」だと思い込んで見ているから

不安にもならず

慌てもしないのだが

ふと思い返して

考え直してみると

なんと異様この上ない事態だろう

なんと不思議な

抽象的な

非人間的な場を

当たり前の

ありきたりの

日常そのもの

だなどと

思い込んで

平気で行き来したりできている

ものだろう

 

道とはすでに異界である

 

 




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