車の往来の多い
すっかり夜になった表通りに沿って
舗道を歩いていく
道とは不思議なものだ
自分と同じ生存条件にある人間たちが
そこここを歩いており
同時刻
同じ場所を
行き交ってはいる
ところが
知っている人はふつう誰ひとりおらず
どこの誰よりも他人どうし
さらに言えば
他人という以上に
ただ「此処」の「今」をともにしているという他には
過去にも未来にも
仕事の上でも
どんな人間関係においても
人生的になんの接点も持たない
異界の者どうし
そんな存在たちが
右にも
左にも
前にも
後ろにも
蠢いていて
まっとうに「人間でござい!」
と見せている
少し時間が経ち
少し歩き続けて行ってしまえば
この地上で
金輪際見かけることもなく
顔をあわせることも
なくなってしまう
こちらも
むこうの存在たちも
同じ「人間」だと思い込んで見ているから
不安にもならず
慌てもしないのだが
ふと思い返して
考え直してみると
なんと異様この上ない事態だろう
なんと不思議な
抽象的な
非人間的な場を
当たり前の
ありきたりの
日常そのもの
だなどと
思い込んで
平気で行き来したりできている
ものだろう
道とはすでに異界である
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