2026年8月19日水曜日

あんなにも白く輝く原野を



  

そうして また あんなにも白く輝く原野を

数えきれないほど 何度も 失っていかなければならないのか! 

意図されたものでもなければ

夢見られたものでもないから

失い続けたからといって 失敗ではないのだけれど

あんなにも白く輝く原野は 思いがけない希少な発見のように

欲というものの芽を 心の ことに柔らかな土壌に

無数に芽吹かせてやまないもののようだ

 

わたしはひとり わたしたちの揺れ動きのはずれに退いて

岩の上に腰を下ろし 今現在となんの関わりもない 少年時代の

希望や願望のいくつかを 思い出してみようとする 

そうしながら 白く輝くあれらの原野の単調な輪郭を

わたしの人生のもっとも具体的な手触りであるかのように

ゆっくりと目で追い続けていってみる

 

あゝ、忘れてならないのは

姉がふたりいて、レニーとミカという名だったこと! 

そうして わたしたちの親しんだ谷で別れて来たこと!

手紙を書いても誰かが届けてくれるでもなし、

他の連絡手段があるわけでもなし、

そのうえ 伝えねばならないことがあるわけでもないので、

わたしは岩の上に座りながらレニーとミカの顔を

ひさしぶりによく思い出してみようとするが

 

あゝ、思い出せないのだ! あんなにも白く輝く原野を

数えきれないほど 何度も 失っていかなければならない前に

レニーとミカの顔の詳細を 先に失っていってしまっている!

 

 


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