ことのほか
闇たちが華やいで
河をみな
渡り終えてしまったようだった
ひとり
衰弱を早めて逝った娘が
霧の舟の上に立って
戻ってくる
夜が鳴いている
納屋の奥なんかで
時代錯誤に
ガラスの煤けたランプを灯して
わたしたちだけでも
古くから伝わった本を朗読していきましょう
小さな蛾が
ときどき灯りのまわりに来るけれども
それこそ
永遠の幸福の兆し?
闇たちが渡っていってしまった河を
逝った娘は戻ってくる
夜が鳴いている
夜はあまりに大きすぎる
生き物だった
と
わかる
納屋の奥にいるわたしたちからは
見えないけれど
河のむこうでもなければ
こちらでもない
遠いところに
巨大な都市があって
夜も光が絶えないというのだが
朗読の声の隙間隙間に
音の目で見えるようには感じている
そこに行く必要はなく
たぶん
わたしたちのほとんどは行かないだろうが
誰かひとり
ふたり
行こうとするに違いない
古くから伝わった本を朗読する
以外のことを
ほんのちょっと
やってみたい気持ちに
駆られて
ただ
それだけの
理由で
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