関東地方も
梅雨に
入ったそうな
梅雨と呼ぶのも
悪くないが
雨季とか
雨期と呼んでみたくもある
雨期
という言葉の好きだった女詩人と
むかし
親しかったこともある
傘さして
雨のなかを
ああ
なんとたくさんの女たちと
そぞろ歩いたことか
荷物が多くなければ
雨中の散策も
わるくないもの
あまりに雨が吹きつければ
それはそれ
面倒だが
梅雨の頃の雨は
吹きつけるような雨でもないし
大きな公園の
亭の下へ雨やどりすれば
どの女とも
たちまち別世界が立つようで
若さと
人生のさかりとは
そのまま
夢の蔓を繁茂させていく草に
似ていた
大樹の下で
雨のあたらないベンチでも見つかれば
ちょっと座って
むかしなら誰でも持っていた
両切りの
強い煙草に火を付けて
ゆっくりと一本
吸ったりしたものだった
吸っているあいだの
遠く
近くの
雨の音を
聖なる音のように
聴きながら
世の中や
人生のなかに来るのとは違う
明日を
思い見ようとしたりした
そうして
一本を
吸い終わると
立ち上がり
歩き出したものだ
世の中や
人生のなかに来るのとは違う
明日へ
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