本のおもしろいところは
そして
困ったところは
ひとたびどこかのページを開くと
こちらの意識が変容し
次元が変わり
世界も宇宙も豹変し
問題意識も
生の進む先も
すべて
変わってしまうところだ
16年ほども開けなかった
本の箱の奥から出した一冊に
パスカル・キニャールの『アメリカによる占領』*があった
この本は読んでいなかった
白水社の「ふらんす」で
フランスの新刊本の紹介をしていた頃
毎月新刊をたくさん買い込んで
片っぱしから読んで
どれかひとつを選んで記事を書いたものだったが
その時に買ったものの
読まずに済ましてしまった一冊だった
冒頭はこんなふうに始まる
いつ戦争は終わるのか? オルレアンの人間はケルト人に支配され、ゲルマン人に支配され、
1994年に書かれた本だが
2025年の現代にこそ
読まれるべき本かもしれない
*Pascal Quignard l’Occupation américaine Edition du Seuil, 1994
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