何度ぐらいまで
今日という夏の日の気温は
上がったのだろう?
帰宅した後で
スマホの天気アプリを開き
ふりかえってみると
36度に達した時間帯を
暑いというより
乾かされるという感じの陽光を受けながら
ゆるゆると歩いてきたようだ
昨日までと違って
あまり湿っていないので
36度ほどの中でも
肌の不快感はなかった
汗は出続けるが
腕もうなじも頬も
べたつく感じがないのは
気持ちがよかった
祝日であり
三連休だったので
歩いていく街のどの道も
ふつうのウイークディの時より
ひとの姿がまばらで
閑散としている
祝日に休めない仕事を
もう何十年も続けてきているが
たとえ自分だけ仕事で街に出ている際でも
世間の人びとの姿がまばらで
街中が閑散としているのは
じつは
気持ちがいい
仕事のためであれ
やっかいな用事のためであれ
人びとの群れていない
どこか抽象味も増した街を歩いて行くのは
この世の人生での
醍醐味のひとつだと思う
FIFAワールドカップの決勝戦のテレビ放映で
スペインが得点した瞬間を
朝食を取りながらたまたま見たけれども
あのスタジアムの満員ぶりには
お可哀想に!
と感じざるを得なかった
どこのどんな催しであれ
ひとが集まりすぎて
屠殺場へトラック輸送される豚たちの
押し合いへし合いのようになった光景を見ると
生のクオリティーが
ふたつも三つもレベルダウンしたように見え
お可哀想に!
と思ってしまう
自分がそこに居合わせたら
すこしでもはやく抜け出そうとするだろう
湿りすぎておらず
ひともひどく少ないおかげで
架空の夏のようになり
架空の街のようにもなった
わたしだけの夏の一日を
道端にヤブカラシのつやつやした茎が伸び
ヒルガオのピンク色がぽつぽつ咲き
カラスウリのレース様の花が
ヤブカラシの繁茂した葉の上に開いて
日本の夏のふつうさは
今年もつつがなく豊かだった
そうして
ふいに記憶のむこうから
よみがえる
小学生の頃の
テレビCMのちょっとおしゃれな歌*
マックスファクターの
夏のパンケーキのCMだったか
砂場を歩む女性が
靴に入った砂を落すために
なにかに寄りかかって
靴を脱いで持ち上げる光景が
しずかな
圧倒的な魅力を
1971年の夏休み直前の子どもに
及ぼしたものだった
そのCMの光景を思い出しながら
うんざりするような暑さの中
家までの
昼下がりの
誰も歩いていない長いアスファルトの道を
とぼとぼと
子どもは帰っていこうとしていた
*Summer Creation/Joan Shepherd
https://www.youtube.com/watch?v=V1lNAr9B_U4&list=RDV1lNAr9B_U4&start_radio=1
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