2026年7月21日火曜日

架空の夏 架空の街


 

 

何度ぐらいまで

今日という夏の日の気温は

上がったのだろう?

 

帰宅した後で

スマホの天気アプリを開き

ふりかえってみると

36度に達した時間帯を

暑いというより

乾かされるという感じの陽光を受けながら

ゆるゆると歩いてきたようだ

 

昨日までと違って

あまり湿っていないので

36度ほどの中でも

肌の不快感はなかった

 

汗は出続けるが

腕もうなじも頬も

べたつく感じがないのは

気持ちがよかった

 

祝日であり

三連休だったので

歩いていく街のどの道も

ふつうのウイークディの時より

ひとの姿がまばらで

閑散としている

 

祝日に休めない仕事を

もう何十年も続けてきているが

たとえ自分だけ仕事で街に出ている際でも

世間の人びとの姿がまばらで

街中が閑散としているのは

じつは

気持ちがいい

 

仕事のためであれ

やっかいな用事のためであれ

人びとの群れていない

どこか抽象味も増した街を歩いて行くのは

この世の人生での

醍醐味のひとつだと思う

 

FIFAワールドカップの決勝戦のテレビ放映で

スペインが得点した瞬間を

朝食を取りながらたまたま見たけれども

あのスタジアムの満員ぶりには

お可哀想に!

と感じざるを得なかった

どこのどんな催しであれ

ひとが集まりすぎて

屠殺場へトラック輸送される豚たちの

押し合いへし合いのようになった光景を見ると

生のクオリティーが

ふたつも三つもレベルダウンしたように見え

お可哀想に!

と思ってしまう

自分がそこに居合わせたら

すこしでもはやく抜け出そうとするだろう

 

湿りすぎておらず

ひともひどく少ないおかげで

架空の夏のようになり

架空の街のようにもなった

わたしだけの夏の一日を

道端にヤブカラシのつやつやした茎が伸び

ヒルガオのピンク色がぽつぽつ咲き

カラスウリのレース様の花が

ヤブカラシの繁茂した葉の上に開いて

日本の夏のふつうさは

今年もつつがなく豊かだった

 

そうして

ふいに記憶のむこうから

よみがえる

小学生の頃の

テレビCMのちょっとおしゃれな歌*

 

マックスファクターの

夏のパンケーキのCMだったか

砂場を歩む女性が

靴に入った砂を落すために

なにかに寄りかかって

靴を脱いで持ち上げる光景が

しずかな

圧倒的な魅力を

1971年の夏休み直前の子どもに

及ぼしたものだった

 

そのCMの光景を思い出しながら

うんざりするような暑さの中

家までの

昼下がりの

誰も歩いていない長いアスファルトの道を

とぼとぼと

子どもは帰っていこうとしていた

 

  

 

*Summer CreationJoan Shepherd

https://www.youtube.com/watch?v=V1lNAr9B_U4&list=RDV1lNAr9B_U4&start_radio=1

 https://www.youtube.com/watch?v=fBNjH0mo9Uc&list=RDfBNjH0mo9Uc&start_radio=1

 


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