2025年7月16日水曜日

なにひとつ まったく

 

  

 

小津安二郎の

古い古い

1931年のコメディータッチのサイレント映画

『東京の合唱』を大学生に見せてみたら

こんな感想を書いてきた学生がいた

 

「義心のために職を失った主人公だが

学生時代の恩師のおかげで無事に職を手に入れることができた。

ハッピーエンドといえばハッピーエンドといえると思うが、

小津監督が描いた社会問題自体はなんら解決していない。

明るい作風ではあるものの、

その実よく考えると恐ろしいものがある。

ただ、人ひとりの力でこのような問題が解決するわけでもない、

そう考えると

映画としてその状況を後世に残したりすることには

計り知れない意味があるように思えた。」

 

みごとな

鑑賞ぶりではないか

 

映画で描いてみて

とりあえずのストーリーは

ハッピーエンドっぽく

幕切れにしていってみても

「社会問題自体はなんら解決していない」

 

小説に描いてみても

 

ドラマにしてみても

 

たぶん

取材記事にしてみても

 

マイクを握って

街頭で叫んでみても

 

なにひとつ

まったく

 





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