教職課程を学んでいる大学生にも
小津安二郎の『父ありき』を見せてみた
https://www.youtube.com/watch?
笠智衆の演じる父と
佐野周二の演じる息子が
父の仕事の都合や
息子の学校の場所の都合で
ずっと別れ別れに暮らす話である
父も息子も
理科の教員を経験するが
教壇はむかしのものなので
学生たちの机の並ぶ床よりも
高くなって
まさに「段」になっている
教職課程を学んでいる学生は
ある授業で
むかしは現在の教壇と違い
学生たちの机の位置よりも高くして
しっかりと高低差を付けていた
と習ったという
「教師と生徒との区別をはっきりつける」ためだ
と聞いたというのだが
なるほど
20年ほど前までの古い校舎では
授業でモノを教えるまねごとをしていた時
30㎝だか40㎝ほどは高い教壇に立って
わたしも教えていた覚えがある
もっとも
教える側から言うと
「教師と生徒との区別をはっきりつける」ためではなく
後ろの学生までよく見えるように
こちらの声がよく届くように
といった
実利的な理由があったように感じた
教壇のこの高さについては
ヒヤッとするような思い出がある
ある時
教壇の上に上がって
黒板のほうを向いてしきりに文字を書きながら
ずいぶん熱中して説明をしていた時
ちょっと後ろに下がった際に
高くなっている教壇の上から落っこちたことがあった
背中から落っこちて
気づくと仰向けに倒れていた
なんの怪我もない
みごとに安全な倒れ方をしたのだが
前のほうにおかれていた学生机が
頭の上やわきにいくつかあって
少しわきにそれて倒れていれば
それらに頭が当たっていた可能性があった
机と机のあいだの細い通路に
うまいぐあいに頭が入ったかたちで
背から落ちたのだった
「おや、おっこっちゃった!」
などと言いながら
ひょいと起き上がって
また黒板に字を書きながら
説明を続けたのだが
授業が終わった後にふりかえって
自分が落ちた場所を見直してみると
落ちようによっては
ほんとうに危なかったかもしれないと
よくわかった
黒板の字を消し
教材やノートをまとめて
最後にひとりで教室から出て行く時
偶然というより
やはり
なにかにちょっと守られたのかな?
と思いながら
暗い廊下へと足を運んだ
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