定家卿ト云フ名人ノ手跡、以外ノ悪筆也
後世風評
2・1
家。この寒々しいもの。近所というものがあり、光景は虚しさを心に浮かばせる。やがて、体はちからを失う時がきて、このあたりを歩くことさえできなくなるだろう。そういう体にだれが金を払い続けるのか。国家の親切さ。自力で歩けなくなったら、電気ショックで体を殺す制度ができるかもしれない。倫理は時代によってかわる。 食肉用の豚を殺すように。電気ごてで「タッチしてあげる」という言い方を、食肉処理業者は使う。「額のあたりに、そっと、チョンとタッチしてあげるんです。それで終わり。ぜんぜん苦しみませんよ。血もでないし、きれいなものです」
生きていることが家である。この寒々しいもの。霊はなにを望んでこの家に住みにくるのか。後から後から生まれてくる赤ん坊の霊たちの、勇気に感嘆するほかはない。みな、魂を汚すために来る。苦い心。親となることの罪を語らないのが、おとなの礼節である。
[初出] NOUVEAU NOUVEAU FRISSON (ヌーヴォー・ヌーヴォー・フリッソン) numéro 7 (1996年8月)
編集発行人 駿河昌樹
発行場所 東京都世田谷区代田1-1-5、ホース115ー205 〒155
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