定家卿ト云フ名人ノ手跡、以外ノ悪筆也
後世風評
0・1
領土拡張に参加しない。「わたし」のそれに。運命という言葉は時代遅れになったが、その語で呼ぶべきものが「わたし」をたびたび襲った。疲労。迷い。見るだけ、いるだけの行為に賭けよう。ちからを使わない。求めない。望みの過大はこれほど罰せられるべきことだろうか。思いは自律的な運動を持つ。ある程度までは。その自律性に任せておくと、運動はやがて分解する。宙に散っていく煙のように。そして、その運動も「わたし」ではなかったとわかる。この了解は、価値や無価値の範疇に属さない。「わたし」を求める流行が人界に続いている。夕暮れに戻り来る舟の曳航は長い。
[初出] NOUVEAU NOUVEAU FRISSON (ヌーヴォー・ヌーヴォー・フリッソン) numéro 7 (1996年8月)
編集発行人 駿河昌樹
発行場所 東京都世田谷区代田1-1-5、ホース115ー205 〒155
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