JE est un autre.
Arthur Rimbaud
地球に来てみて
文字で
なにか記してみると
じぶんの言葉だ
などと
思い込んでしまう人も
出てくる
言葉も
文字も
人類の思念の垢で
いま記す人のものでなどなく
記す人の思いも
無数の外的刺激の混淆や乱反射でしかないのに
じぶんの言葉だ
などと
錯誤するのを
喜んでいる
記す人の指でさえ
生物や人類の遺伝子のサンゴ
十代のランボーの知見に
せめては
到達しておこうよ
「私」とは他者だ(“JE est un autre.”)
と
あるいは
私は他者だ(“Je suis l'autre”)
という
ネルヴァルの知見に
さらには
フロイトの知見
「自我は自分の家の主人ではない」
“dass das Ich kein Herr sei in seinem eigenen Haus”
もちろん
ポール・ヴァレリーの知見も
「他者と意志の伝達をはかれる限りにおいてしか
人は自分自身とも通じあうことができない。
それは他者と意志の伝達をはかるときと同じ手段によってしか
自分とも通じあえないということである。
彼は、私がとりあえず「他者」
自分と自分との間を取り持つもの、それは「他者」である。」
(『カイエ』23・790―9)
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