気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
ひところ
言葉を使うことや
すこし難しめの漢字を使うことも
すっかり廃れてしまった
と見られた時代が
瘴気のように街から街を
覆っていた
ところが
電気じかけの印字機や
印刷文字そのままを映し出す
小さなモニター付き印字機が広まると
いつのまにか
奔流の文字の世紀
いまや
文字でしゃべる
しゃべる
売文屋でも
書記でもない万人が
文字で
たいていは
凍る涎
突然巨大になった口から
ぼくたちの突然巨大になった口が凍る涎をたらす
吉岡実「或る世界」
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