イワシの目刺しや丸干しは
毎日食べたりはしないが
半額で売られているのをみつけると
買っていきたくなってしまう
すでに塩味は染みているから
薄切りにしたニンニクを散らして
トウガラシなどで辛みを加えてオリーブオイルで炒めれば
アヒージョ風といえるのか
ものの数分で
ちょっとしたうまいものができる
トウガラシでなく他の味でもうまいものができるだろう
サバに至っては
比較的安いからというのもあるが
値引きされているものを見つけるとすぐに買って
冷凍庫に保存しておく
三日に一度はサバを食べているといえる
肉もそうだが
安魚はほんのちょっとの焼きぐあいで
驚くほど味が変わるので
ガス台につきっきりになって注意して焼くと
100円や200円で買ったものが
それなりにうまく食べられる
後三条天皇も
サバは好きだったようである
鎌倉時代の源顕兼の『古事談』に
こんな逸話が記されている
後三条天皇、鯖の頭を食する事
ある人いはく、鰯は良薬たりといへども公家に供ぜず。
鯖は苟(いや)しき物といへども供御に備ふ、と云々。
後三条院は鯖の頭に胡椒をぬりて、
あぶりて常にきこしめしきと範時語りけり。
(ある人が言うには、鯣は健康によい食材だが、
鯖は格の低い食品だが、御膳に供するという。
後三条天皇は鯖の頭に胡椒(胡桃)を塗り、
火で炙っていつも召し上がっていたと、時範が語った。 )
鎌倉時代に
イワシを「良薬」として認識しているのが
まず
おもしろい
「良薬」なのに
天皇の御膳には供さなかったそうなので
ちょっと勿体ない気がするが
どうしてなのだろうか
サバのほうは
格の低い食べ物と見られていたが
御膳には供していたらしい
後三条天皇はサバを好んだらしく
頭に「胡椒」を塗って
火で炙って
よく召し上がっていたという
丹鶴叢書本の原文には「鯖の頭に胡椒をぬりて」とあるが
国文学者の伊東玉美氏の註によれば
コショウ(胡椒)ではなく
クルミ(胡桃)のほうがふさわしい
とのことだ
昔の料理書の『厨事類記』には
「零餘子焼(ぬかごやき)……〔ある説。
とあり
『四条流包丁書』には
「鳥の串焼の事……さて、くるみをねばねばとすり付けて、
かはくほどにまたあぶりて」
などとあるそうで
クルミは調味料として
重宝していたようである
原文に「範時語りけり」とあるのも
「時範」のほうが正しい
平時範のことで
藤原定家の子であり
藤原師通・忠実の家司であり
白河・堀河朝の蔵人で弁官だった
『古事談』の著者の源顕兼は
新古今和歌集の歌人たちとひろく交わり
藤原定家とも親しかった
顕兼が妻を亡くした際には
定家も涙を流したと伝えられる
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