その街には木々が多く
林や森になっているところもあって
とりたてて急いでいく用事のない時には
道から道へと当てずっぽうに辿っていってみると
みどり溢れる迷路のなかに入り込んだようで
これがなかなか楽しいし
しあわせな気分になる
ある林の裏に迷い込むと
祠のようなものがあったので
小さなお稲荷さんだろうかと思ったが
立ち止まらずに歩き続けうち
むこうの道にも散策しているらしい初老の人が見え
あちらからはどう見られているのだろう?
やはり散策者と見えているだろうか?
と思いながら
その林からは離れて
開けたところに伸びていく道に立った
とりたてて思い出す必要もないような
夢の話だが
こんな夢のなかにえんえんと居られるというのは
なんとしあわせなことではないか!
目覚めて
からだを起こして
廊下や台所のほうへ歩いて行くと
昨今は
これもまた別の夢の話だな
と確信するようになった
さっきまで見ていた夢の世界よりも
こちらの人間たちの誰もがそう思いたがる
この現実とやらのほうが
じつは
つねにいくらか
現実度のわりあいが少ないのだが
ほかの人間たちに
わざわざこのことを話すのは
めんどうくさいので
しなくなっている
けれども
あなただけに
きょうは
教えてあげる
こっちの
この“現実”とやらは
じつは
ウソだよ
ニセモノさ
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