2011年8月26日金曜日

茶の葉のようなほぐれ




I come to the Garden alone.(讃美歌の一節)




(かたちも色もない夢ばかり見るようになって…

(思い出しても
(それが夢だとも思えない…

(この世界の
(ものや事の澱みの沼の中で
(感じたのでも
(考えたのでもない

(べつの襞の中で
(わかった!…という瞬間の
(見えない
(触れない
(痕跡


ひとしきりの雨ののち
居間のテーブルに長く就いて
茶の葉が拡がっていくのをゆっくりと待ち
戸外に聞こえはじめた
小鳥のさえずりを聞いていた

――と、
ふいに来た
記憶
いつものような
夢ともつかぬ
べつの襞の中での
瞬間の
茶の葉のような
ほぐれ

…物語でもない
…印象でもない
…質や量があるなにかでもない
…大事なのは
…からだに現われない
…ものの場に移動できない
…思いや感情のもと
…この世界にあふれ出てくる前のもの
…それだけをいっそう
…核とせよ

ほぐれにこう告げられ
茶の葉がまだほぐれ尽きぬ
わずかの間に
はじめて
わたくしは魂となった
はい、といい
うなずき


もう
なにもなくなってしまった…
この世ですべき
こと



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