たぶん流れはみどりの光のようになり
水(、かたい、じつは、思われている以上に、)
水(、ほんとうに頻繁に思う、水というものをまだわかっていない、と)
よりもるるるるとなり
もう達するということはなくなって
移るような
留まっているような
あるような
ないような
…そうしてすっかりそれにわたくしも同化してしまおうとするのだろう
同化
していこうとするわたくしは
なんなのだか
わたくしにはわからない
そのときにはわかるだろうかいやわからないだろうと感じる
わたくしというのはやっぱりいつも
何人もでつかまる浮き輪のようなもので
その何人もがみんなわたくしと自称するものだから
さっきのわたくしと
いまのわたくしとは
まったく繋がっていなかったりする
当然のことだね
いまさら言い直して確認するほどのことじゃないね
午後も遅くなってからふいに風が強くなり出し
それでもわたくしは気持ちを変えずに
広大な河川敷の草原に出ていった
四方の空が見渡せ
いくつも巨大な雲のかたまりが渡っていく
まだ冬というほどではない肌寒さだから
ライナーを除いてうすいコートを羽織っていった
風は物量として当たってくる
髪が引き千切られるような勢いを受けつづけて
わたくしは奇妙な言い方ながらすっかりわたくしだとかろうじて感じていた
すっかりわたくし
内容なんてもうないのだ
過去もいつのまにかもげ落ちてしまっていた
ちぎれて飛んでいってしまっていた
未来も(いかなる未来であれ)
もう関係ないわたくしのようだすっかり
ここでこの分かち書きの記述はストップ
ほんとうは書きはじめる時に
河川敷の草原で振り返るさまを描いて結ぼうと思っていた
強風のなかをずんずん歩いていって
ある地点で振り返る
すると後ろのそこここに
自分が何人も黒ずんで立っているのが見えるという結び方
それをやろうと思って書きはじめた
どうしてだろう
それをしたくなくなった
実際にわたくしは振り返ってみたし
あそこやそこ
むこうのあのあたりにも
数分前の過去の黒ずんだ自分がいるとしてもわるくないと確認までしたのだ
たぶん流れはみどりの光のようになり
と書き出したのは
どうしてかわからない
そんな計画ではなかったのに
それに
水(、かたい、じつは、思われている以上に、)
と書き
水(、ほんとうに頻繁に思う、水というものをまだわかっていない、と)
とさらに続け
よりもるるるるとなり
もう達するということはなくなって
と繋げて
移るような
留まっているような
あるような
ないような
と伸ばしていった…
なんだかせつないよ
わたくしは急速になにかの頂にたどり着いてしまい
四方からのとほうもない風を同時に受けて
はじめて経験するようなバランスを保たされている
でも心細くはないのだ
こんなにすっかりからっぽになって
だれに届くか届かないかももう思わずに
ことばを並んでいくばかりで
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