敗戦後の私は日本古来の悲しみのなかに帰ってゆくばかりである。
私は戦後の世相なるもの、風俗なるものを信じない。 現実なるものも信じない。
近代小説の根底の写実からも私は離れてしまいそうである。
もとからそうであったろう。
川端康成
悪法がまたできるらしいが
抵抗に秀でたひとたちに任せておこう
ぼくはアタマ数のひとりにさえならずに
この冬からまた次の春
そのあとの夏への
ひかりと闇の交錯のさまを
生きつづけていこう
抵抗者たちのかわりに
忘れられた幽谷のしずけさを聞き
音もなく移る霧のいのちを
精霊たちとともに眺めつづけていよう
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