夏の扇も
団扇も
そろそろ…
ふいに冷え過ぎる夜もあって
本のページも
気持ちよく乾き
思い出す
昔の先生たち
「所詮わたしはひとりの
「読書家としてのみ
「生きてきたに過ぎないのだけれど…
と事あるごとに
口になさっていた先生もあって
あゝ
いまは思う
ひとりの読書家として
生き続けるのも
なかなかの
難事
たくさんの辞書を
それも重いのを
取っかえひっかえ手にとり
細かい字を追いながら
古い書物を読み続けるのは
なかなかの
難事
若い頃は
こうまで思い至らなかったけれど
本を読み続けるのは
まことに重労働ですね
先生
ふいに冷え過ぎる夜に
思う
こんなこと
みんな皆
亡くなられたが
あの先生がたのように
世の喧騒に流れず
さびしく
さみしく
読み続けていく
そんな秋が
あゝ
また来ている
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