田野のかたわらを歩くと
春から芽吹いたさまざまな草が伸びて
生い茂りはじめていて
どれも鮮やかなみどりで
なかにはすでに強いみどりのものもあって
悔やまれるのは
それらの草の名も
こまかい性質も
ほとんどわかっていないこと
学ぶのを
怠けたわけではないのだ
小学生時代は
植物学者になろうかとも思って
植物図鑑をいつも持ち出して
子どもながらに踏み込んでいける野山を
毎日歩きまわって
草や木の名を熱心に覚えようとした
中学生頃にも
まだずいぶん覚えていたはずだが
大人になっていくと
どうしてしまうのだろう
あんなに覚えていた草木の名が
ずいぶんと頭から消えていってしまう
この世はなんと多くの名や
興味を惹かれ続けるさまざまな事象で
溢れかえっていることか!
歳を重ねていくにつれ
それらは毎日押し寄せ続けて
むかし覚えていた草木のことを
つぎつぎと頭から追い出していってしまう!
草木の名や性質のあれこれについては
植物学者たちに任せておこう
などと大人になった頭は考えるようになるが
田野のかたわらを歩いたり
山のふもとや川べりを歩くと
せっかく生い茂り出してきている
これら豊かなみどりの王国を
わが知識ですっかり見通せないでいるのが
残念でたまらなくなってしまう
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