2025年6月6日金曜日

田野のかたわらを歩くと

 

 

 

田野のかたわらを歩くと

春から芽吹いたさまざまな草が伸びて

生い茂りはじめていて

どれも鮮やかなみどりで

なかにはすでに強いみどりのものもあって

悔やまれるのは

それらの草の名も

こまかい性質も

ほとんどわかっていないこと

 

学ぶのを

怠けたわけではないのだ

小学生時代は

植物学者になろうかとも思って

植物図鑑をいつも持ち出して

子どもながらに踏み込んでいける野山を

毎日歩きまわって

草や木の名を熱心に覚えようとした

 

中学生頃にも

まだずいぶん覚えていたはずだが

大人になっていくと

どうしてしまうのだろう

あんなに覚えていた草木の名が

ずいぶんと頭から消えていってしまう

 

この世はなんと多くの名や

興味を惹かれ続けるさまざまな事象で

溢れかえっていることか!

歳を重ねていくにつれ

それらは毎日押し寄せ続けて

むかし覚えていた草木のことを

つぎつぎと頭から追い出していってしまう!

 

草木の名や性質のあれこれについては

植物学者たちに任せておこう

などと大人になった頭は考えるようになるが

田野のかたわらを歩いたり

山のふもとや川べりを歩くと

せっかく生い茂り出してきている

これら豊かなみどりの王国を

わが知識ですっかり見通せないでいるのが

残念でたまらなくなってしまう






0 件のコメント: