台所の流しに
塩づけにされたような
粘液性のグレーの肉片が落ちていた
キャベツに付いていたナメクジに
塩をふんだんにかけて
妻がなんとか処置した後だった
たしかにナメクジは
観葉植物などに害をなすこともある
しかし
キャベツに付いてきた小さなものなど
ちょいと抓んで
外に放り出してやればいいだろう
殺す必要はない
無益な殺生というものだ
昆虫好きの男の子なら
まずやらないような
こういう無益な殺生を見ると
下手人は死後にろくなことにならないだろうな
と思う
きっと閻魔様に
一度ナメクジに生まれ変わって
塩を振られる経験をしてこい
と下界に落されるにちがいない
キャベツにくっついて
せっかくつかの間来訪した小さな客人を
こんな塩攻めにして果てさせるとは
なんと心の狭いことかと
さびしくなった
台所のステンレスの流しの上で
似たようなグレーの色で果てているナメクジの姿は
なかなかさびしい風景だった
指で抓むと
すこし硬くなっていた
こんな程度のことを
ほかの生物にしてやれない者が
人間だなどと
各地で自認している
ほかの生物どころか
人間にむかって似たような行いを
平気でなす者たちもいる
やられる側になる経験をしてこいと
閻魔様に下界に落されるにちがいない
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