すべての賃金労働者は、方向喪失、寂寥感、依存性という疫病に苦しむ。
イヴァン・イリイチ
ジョギングもできて
いい週末を過ごせた次の週
足腰にすこし疲れがあったけれど
体調はすこぶる良く
からだは機敏で
キビキビ
足どりも軽い
自宅最寄りの駅につき
長い階段を上る時も
からだは軽く
やっぱり運動はしないとな
と思っていたら
前を上がっていく女の子
ずいぶん若いのに
膝を両手で押さえ押さえして
ようやく上ったと思ったら
手を膝にあてたまま
立ち止まって息をついている
ふとまわりを見まわすと
ほとんどの人たちが
気息奄々
どうにか階段を上り
どうにか立ち止まらずに歩き続け
どうにかピッとSUICAして
どうにか家にむかっていく
ひとり
快調な一日で
よかったとは思ったものの
これじゃあ
この国はもたないぞ
毎晩こんなに疲れ切って
どうにかこうにか帰宅するようじゃ
この国はもたないぞ…
さっきの女の子は
と見ると
階段を上ったところで
まだ止まったまま
膝に手をあて
下を向いている
すこしムリして
ながく走ってきた走者が
ゴールして
ハアハアしながら
呼吸を整えているみたいな姿
「これが日本だ
わたしの国だ…」と
むかしの歌謡曲にあったが
あの女の子が
日本だな
日本そのもの
この国はもたないぞ
これじゃあ
気でもちがったように
すっかり生き方を変えでもしないと
この国はもたないぞ
義理スマホだの
義理メールだのを禁じて
過剰人間関係からグッと手を引くとか
寿命をグッと下げるとか
こんなに仕事をしないと生きられないなんて
どうかしてるよ
やっぱり
小さな電子画面をあんなに見続けるなんてのも
異生物化しているよ
やっぱり
むかし
大金持ちの条件は
電話のかかってこないところへ
ひと月ふた月程度はリゾートできることだった
いまじゃ金なしどもが
ちまちました人間関係網を
何重にもはりめぐらして
電子画面で送受信し続けて
豊かなつもり?
豊かになっていくつもり?
徹底的に
だまされ続けているってことが
わからないかね
まだ
戦闘が続いていて
我慢すればなんとかなる
と信じて我慢し続ける者が
とことん
馬鹿を見るってことが
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