叔父の葬儀の際
十数匹の鈴虫を寺から貰い
この秋は
ゆくりなくも
たっぷり
鈴虫の声を堪能できた
しかし
涼しくなり出すと
鈴虫というのは
はっきりと衰えを見せ出す
秋涼に敏感な草のようで
命の枯れ色を見せる
四十九日にまた寺を訪ね
叔父の納骨のことは
そこそこに
儀礼どおりに済ませて
鈴虫の礼を言い
ひとしきり
鈴虫の話となった
まだ三匹生きています
オスもいますが
もう鳴きませんね
そんなことを言うと
まだ生きてますか
寺のたくさんの鈴虫は
もうみんな死んでしまって
と聞かされた
コオロギと違って
か細い鈴虫は
なんだか
移動できる自由を
草葉がちょっと手に入れようと
わずかの期間
変身したような感じで
ちいさな草葉のように死んでいきますね
死骸が枯れ草のようです
そんなことを言ってみたが
伝わったか
どうか
移動できる自由を
ちょっと
手に入れてみた草葉
というイメージは
伝わらなかったかもしれない
卵の越冬は
そう神経質にならなくてもいいらしい
乾き過ぎないように
ラップでケースの上を覆って
温度も気にせずに
ほったらかしておく
と言う
うまくすれば
初夏に
卵から出てくるらしい
ちょっとは孵ってほしいと思うが
やけにいっぱい孵られても
手間が掛かりすぎる夏となろう
それも困るな
と
今から気にかかってくる
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