去年の雪いまいづこ?(フランソワ・ヴィヨン)
きょうのコーヒーは
マンデリン
ぼくはモカが飲みたいけれど
マンデリン
それもいいかな
ひさしぶりに
きみを待つ
五月の午後の喫茶店
ビニールの
いつものソファ
窓からは
学生たちやサラリーマン
いつもどおりに
せわしない
大通りのこの眺め
はたち
はたちと思っていたら
もうそれも
去年のはなし
ふっと
めまいがするように
ぼくは見る
たとえば三十年後のすがた
輪郭も
やけにはっきり
ぼくでない
他人のように
顔
腕
手
きみが来る
ように
未来も来る
そうか?
ほんとに来るか
いまここに
あるものすべてを引きさらう
時の津波のなかにいて
なにをこそ
すればいい?
もちろん
思うが
きみを待つ
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