2012年6月1日金曜日

ジョニィへの伝言 [本歌取り]

阿久悠作詞・都倉俊一作曲編曲・ペドロ&カプリシャス+高橋まり『ジョニィへの伝言』(1973年)の余白に
                    
[阿久悠作詞『ジョニィへの伝言』の本歌取り]


わりと
元気よく出ていったよと
伝えたらジョニィは
あんなごついからだを震わせて
男泣きに泣いてね
いろいろなことがあったな
あのころ
ジョニィのこともそのひとつ
わたしはわたしの道をいく
なんていっていたっけ、あの娘

どこへいってもさびしい町ばかり
ある日どこかのさびしさに落ち着いて
だれもみんな来生の準備をはじめる
あの娘のえらんださびしさは
どんな色をしてたのかな
最後のさびしさをひとは人生と呼んだり
むかしのさびしさを青春と呼んだりしてね

しあわせでしたか、あなた
これでよかったですか、じんせい
どう生きてもこんなに
こんなにさびしいじゃないの
若気のあやまちを
し足りなかったと思うさびしさも
夜更けの思いには加わって
過ぎたものはそれでも
なにもかもなつかしくて

伝えてもらおうと
ぼくも思う
わりと
元気よく出ていったよと
じんせいというこのさびしい町
出ていくときが来たら




◆このカヴァー、本歌取り、内容的翻案は、雑誌《NOUVEAU FRISSON(ヌーヴォー・フリッソン)》42号(19961月)に載せた。今回、わずかな改変を加えた。元歌は誰でも耳覚えがあるにちがいない。今は簡単にネットで確認もできる。この本歌取りの重点は、元歌を思い出したり聴き直しながら掴んでいただきたい。

◆ながいこと好きな歌謡曲のひとつだったが、ある時聴き返してみたら、飽いている自分に気づいた。聴き終えずに、途中で曲を止めた。今でも、ごく稀に曲をかけてみることがある。いつも途中で止める。もう最後までは聴かない。ひとつの曲と、こうして別れていく。そういうことがあるのだと知った。



0 件のコメント: