2020年11月15日日曜日

このさようならの波の打ち寄せのなかで


 

C’est une chanson, qui nous ressemble

Jacques Prévert Les Feuilles Mortes

 

 


森のなかの宴会場か

ホールのようなところで

長かった大きな集まりが終わり

つぎつぎ来るバスやタクシーに乗って

何人かずつ何十人かずつ

その場を離れていく

 

何台かのバスを見送りながら

うしろの席にはあの人も

そのとなりにはあの人も

わきにはあの人もあんな人も

みんなもう去っていくのかと

終わりということの波が寄せてくる

 

それらのどの人たちとも

うまくつき合えたとはいえない

反目しないまでも

どこか認めあわないまま

どこか故意の無視をしながら

時も世もどんどんと過ぎた

 

心に響く声にいま知らされるのは

ぼくのぼくはけっきょく

彼らあってこそのぼく

彼らとの微妙な拮抗あってのぼく

彼らが去ればぼくも消えていく

このさようならの波の打ち寄せのなかで





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