2020年11月27日金曜日

良質の靄なら

 

行かなくなってしまった湿原から 

靄は来続けている

たしかに私は非繁華街人

靄の着こなし方には長けている

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見えない煙草を

人差し指と中指に挟んで

桐島由希子から借りたまゝの唇に

この頃

よく運ぶのよ

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水をたっぷり吸った海綿のように

湿っているべき心

白磁の皿より

薄い金色の貝皿に載せて

裏に水滴が付き始める程度の

ほんのひと時を

初夏の

真みどりの細木の並びのように

良質の靄なら

生きる





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