ことのほか優秀であったのはたしかにせよ
どうして空海があれほど天皇の心を掴み優遇されるに到ったのか
仏教論で所詮は煙にまいただけなのではあるまいか
そう思ってきたところで見つけた『孔雀経音義』にある伝説は
伝説とはいえ腑に落ちるものを提供してくれた
嵯峨天皇臨席の宗論の際に
空海は即身成仏の教義を説き
諸宗の高僧たちはなにひとつ問難できなかったそうだが
嵯峨天皇ひとりは決定的な批評を行う
「教義は了解したが、その証拠を見たい」
天皇も天皇なら空海も空海で
彼はすぐさま智拳印を結び精神を凝らすと
金色の大日如来に変貌して光明を放った
嵯峨天皇はこれによって空海に信順し
高僧たちも真言の法門に帰依することになったという
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