2012年1月14日土曜日

心の手に掬う




幾重にも梱包された
重い荷物のように
モーツァルトさえ
感じられる

どの荷も
今日は解かずにいよう
古い椅子にからだを落とし
見るでもなく
聞くでもなく

なにかを
いつもしているという不幸

時間の過ぎ去りの
継ぎ目
継ぎ目と
友だちになって
なんだか
誰も来ない牧場を
そぞろ歩きしてきた気分

(…あの人たちのように
(生きたくはないな

追わない思いがある
ひろげない
思い

ぷつぷつと
生まれ続ける
細胞たちこそ健やかなれ

そのための
肥やしになるものだけ
心の手に掬う

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