2020年6月1日月曜日

波動の器となるものの扱い


いまはOSHOと呼ばれる故ラージニーシは
「本当に宗教的な人間のまわりには
無努力の優美さが漂っている」
と言っていた
「真の導師は死のようだ」
とも

歌人で書家だった坂本久美から
「オーラって
ほんとにあると思う?
 あるように感じるとしても
 それって
 ほんとうにその人の霊性の高さだと
思う?」
と聞かれた

芸能界やマスメディアや裏社会に
彼女は自分の書を売っていた
出会いが多いので
オーラを誇る多くの男から
便利な性欲対象としてよく迫られる
なかには
まさにオーラと呼びたくなる
奇妙なエネルギーを出している男もいる

そういうオーラのようなものは
たしかにある
と私は知っていた
しかし
それはたいてい蛇霊から来ていて
金銭的な裕福さのかわりに
晩年の完全な凋落を担保にした力である
それでよいという潔さがあれば
逆に人生を謳歌できるかもしれない

私も彼女の書をふたつ
安くしてもらって買った
掛け軸が三万円
色紙が一万八千円で
カンパのようなものだった
もっと有名になった時のために
投資として買っておくなどと言って
ふたりの飲みの席の話題とした

彼女の多難な人生は
そのうちネタにしようと思い
まだ出し惜しみしている

ときには毎晩のように
寂しい寂しい…と電話が来て
ねえ、結婚しよう
と何年も言われ続けたが
ある時から連絡が来なくなった
ステレス性の胃がんだったようで
死までの時間は短かった

死の知らせは
共通の友人から
ずいぶん経ってまわってきた

私に知らせずに
猫の死のようだと思った

彼女のまわりに舞っていた
オーラ男たちに
なにが憑いていたか
もっと
ちゃんと言っておけばよかったか

蛇霊は
関わる人びとの運も吸っていく
まるで
お祭り騒ぎのさなかのように
金や賑わいが
じぶんのまわりで
数年は踊るようになる

その後
ふいに死病に襲われたり
運命の急転に
見舞われたりしないですめばいいが

僧璨
賢き者は目標を持たず
愚か者は自ら足枷をする

数万円払った坂本久美の書は
彼女の死後
エレーヌの家にしばらく掛けておいたが
エレーヌも程なくガンに罹って死んだ
その後引き取って
押し入れに入れておいたが
結局捨てた

波動の器となるものの扱いには
注意が必要である
坂本久美の死を知った時点で
すみやかに
捨てればよかった




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