2020年6月21日日曜日

これでさえも言い過ぎているぐらいで




非常に細やかな装飾画の写真の印刷されている
カレンダーを見ながら
これを
どのように言葉では表現すべきかと思い
立ったまま
何分も
居てしまった

装飾画の細かな様子を事細かに描写しても
たいして効果はでないだろう
そもそも
そんなものを人は読みたがらないだろう
そう思われ
細密な描写を心がけた小説のあれこれのむなしさが
埃くさい古書店の奥にいる時のように
胸に来た

非常に細やかな装飾画の写真の印刷されている
カレンダーを見ながら

ぐらいで
十分だろう
これでさえも
言い過ぎているぐらいで

そう
言葉というひかりの当て方の
角度の問題だろう
考えるべきは

カレンダーを見ていた
装飾画がきれいに印刷されている
細やかな線と色が織りなす明るい長方形が
遠い昔の
のどかで幸福だった
つかの間の時代の空気のようだった

これでさえも
言い過ぎているぐらいで




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