ハルキ

  

 

ムラカミハルキの新作が出るそうで

凋落はなはだしい出版界が

ひさびさに数十匹目のドジョウを

狙っているそうな

 

ハルキストとかいう「主義者」たちも

そこここで蠢き

活動を開始しているらしい

なんとも物騒な世の中である

 

ハルキと聞いて思うのは

なんといってもアラビア語の

裏切り者

という意味あいの言葉だ

 

フランス語だとＨを読まないのでアルキという

アルジェリア戦争の際に

フランス側に協力し続けて戦った

アルジェリア兵士やその家族を呼ぶ

 

アルジェリア民族解放戦線ＦＬＮによって

裏切り者として多くが処刑されたが

1962年のエヴィアン協定後にも

さらに多くの死者が出ている

 

フランスといえば

日本ではなんでも「おフランス」なので

アルジェリア戦争にまつわる

おぞましさの極みのフランスは看過される

 

手っとりばやく雰囲気を知りたいなら

2019年の映画『ラスト・コマンドー』*を見るといい

殺しと残虐と空しさばかりのＢ級映画だが

植民地でのフランスがよくわかるだろう

 

口では慈愛だのなんだの言いながら

フランス軍は情け容赦なく捕虜を殺すが

頭にボロ布をかぶせて木槌で叩き潰す処刑法も

この映画では見られて知見を広められる

 

 

 

*『ラスト・コマンドー』（アブデル・ラウフ・ダブリ監督、2019）

Abdel Raouf Dafri《Qu'un sang impur...／The Breitner Commando》（2019）