2023年4月13日木曜日

文字をめぐる形而上的現象学

  

 

本を読むことや

なにか書きつけることについて

もっとも核心的なことを

たいていの人はわかっていない

 

文字は

否応なしに

人を無私にする

 

なにかを読んでいる人というのは

名前や履歴や肉体のある誰それではすでになく

読むということの発生場や瞬間でしかない

 

書いている人も同様で

おそろしいほど抽象的で

非物質的な現象そのものとなっている

 

文字をめぐる形而上的現象学こそ

まず考究されるべきで

いわゆる文芸的鑑賞や批評は

二の次三の次にされねばならない

 

文芸形而上学者の

モーリス・ブランショのような人が

いくらも必要とされる所以である






0 件のコメント: