小津安二郎の『東京物語』を
30分から40分程度にわけて
いらずもがなの
説明を加えながら
大学で見せてみている
毎週
提出課題として
短いコメントを書かせる
いい見方をする学生もいれば
すぐれた理解を示す学生もいる
しかし
こういうのは
さあ
どうしたものだろう?
「おじいさんおばあさんの2人がせんべいや佃煮と言った子供受け
自分の家族環境での思いから
抜け出さないままで
『東京物語』も見てしまう
大学生が
「まだ子供の私」という自己認識を
している
笠智衆演じる祖父と
東山千栄子演じる祖母が
東京に出てきて
孫のいる家にやってきた時のことを
「せんべいや佃煮と言った子供受けしないものを買ってきたり」
と見たり
「大人だらけの居間に姿を見せろと強要する」
と見たりする
「独り身の紀子さんに
一人じゃ大変でしょうとか
無遠慮で余計なお世話としか思えないような
台詞」を祖母が言っている
と見たりする
そりゃあ
映画をどう見ようと
自由ではあるんだけれど……
だいたい
笠智衆が老妻の東山千栄子に言う言葉が
居丈高だとか
やはり男尊女卑の時代だったとか
亭主関白だとか
いまの時代なら許されない
乱暴な夫だとか
そういう見方をする学生はけっこういる
こういう映画は
放送禁止にすべきではないか?
とか
人前で煙草を吸っているシーンとか
そもそも
映画に煙草を出してきたりするなんて
許されないのではないか?
とか
コメントしてくる学生もいる
家族のなかで
父母も
子供たちも
みんな
完全に平等で
父がなにかを命じることなど厳禁だし
イニシアチブを取ることも
あってはならない
かのような
話の進め方をしていく学生も
けっこう
いる
いやあ
なかなか
おもしろいですよ
この国
近未来で
どうなっていくか……
などと
とりあえず
つぶやいてみたり
しておく
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