2023年10月19日木曜日

つぶやいてみたりしておく

 

 

 

小津安二郎の『東京物語』を

30分から40分程度にわけて

いらずもがなの

説明を加えながら

大学で見せてみている

 

毎週

提出課題として

短いコメントを書かせる

 

いい見方をする学生もいれば

すぐれた理解を示す学生もいる

 

しかし

こういうのは

さあ

どうしたものだろう?

 

 

「おじいさんおばあさんの2人がせんべいや佃煮と言った子供受けしないものを買ってきたり机を廊下に出されたり大人だらけの居間に姿を見せろと強要するあたりにまだ子供の私には居心地の悪さを感じた。父親の実家で感じていた言葉にならない気分の悪さを目の前で再現されたかのようだ。こういう時の父と母の冷たさというとなかなかのものだ。2人とも親戚の前でどうやって適当にやり過ごすかというところに気持ちが傾いているため、あまり子供には構ってくれない。父親方の祖父母は別にそんなに嫌いという訳では無い、ご馳走と言えば肉だと思っていたり(母と私は体質的に牛肉を食べると体調不良になってしまう)自分の家の敷地だからといって他所の家の迷惑を考えずにバーベキューを行ったりするところが非常に性格的に合わず、そこで過ごせば過ごすほど疲れて体調をおかしくしてしまった。親が離婚してあそこに行かなくても良くなったのは本当に喜ばしい作中でもご馳走はとりあえず肉でいいとか独り身の紀子さんに一人じゃ大変でしょうとか無遠慮で余計なお世話としか思えないような台詞が沢山散りばめてあって大人が集まった時の嫌な雰囲気の解像度が高くて思わず顔を顰めてしまった。」

 

自分の家族環境での思いから

抜け出さないままで

『東京物語』も見てしまう

 

大学生が

「まだ子供の私」という自己認識を

している

 

笠智衆演じる祖父と

東山千栄子演じる祖母が

東京に出てきて

孫のいる家にやってきた時のことを

「せんべいや佃煮と言った子供受けしないものを買ってきたり」

と見たり

「大人だらけの居間に姿を見せろと強要する」

と見たりする

「独り身の紀子さんに

一人じゃ大変でしょうとか

無遠慮で余計なお世話としか思えないような

台詞」を祖母が言っている

と見たりする

 

そりゃあ

映画をどう見ようと

自由ではあるんだけれど……

 

だいたい

笠智衆が老妻の東山千栄子に言う言葉が

居丈高だとか

やはり男尊女卑の時代だったとか

亭主関白だとか

いまの時代なら許されない

乱暴な夫だとか

そういう見方をする学生はけっこういる

 

こういう映画は

放送禁止にすべきではないか?

とか

人前で煙草を吸っているシーンとか

そもそも

映画に煙草を出してきたりするなんて

許されないのではないか?

とか

コメントしてくる学生もいる

 

家族のなかで

父母も

子供たちも

みんな

完全に平等で

父がなにかを命じることなど厳禁だし

イニシアチブを取ることも

あってはならない

かのような

話の進め方をしていく学生も

けっこう

いる

 

いやあ

なかなか

おもしろいですよ

この国

近未来で

どうなっていくか……

 

などと

とりあえず

つぶやいてみたり

しておく





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