鑑定を任された精神科医たちが選び出したんだよ、
殺す対象をね…
ナチス時代のあれね、精神障害者や知的障害者へのT4作戦、
もちろん身体障害者に対しても…
しかもユダヤ人にではなく、ドイツ人自身に対して…
患者が病院に到着すると、婦長が丁寧に言う、
お疲れでしょ。汗を流してくつろいでくださいね。
患者たちは服を脱ぎ、地下のシャワー室に案内される、
と、鉄の扉が(永遠に…、永遠に向かって…、)閉まり、
お湯ではなく、
一酸化炭素ガスが、
シューッと、
壁を這う管の小穴から噴き出す…**
20分ほどで全員が死に絶えるってね…**
そう、20分ほどで…
ドイツ国内の6つの病院にあったってね、
こういうガス室が。
7万人ほどがそこで殺されたらしい…
意図的な食料制限などをされて結果的に死んでいったのは
20万人とも、27万人とも…
国内の精神病院と障害者施設のすべてが、
本部からの指令を受けて正確な書類を提出したんだよ。
入所者すべての障害程度を記入して…
鑑定はそれにもとづいてなされた。**
移送に使われたのは
患者輸送公益有限会社の大型バスだってね…
何百もの病院や施設から、
そうして6つの処理施設にみんなが運ばれた…**
お疲れでしょ。汗を流してくつろいでくださいね。*
…そう言うんだよね、最期の場所の婦長は?
そう言うんだよ、
そうして、患者たちは服を脱ぎ、地下のシャワー室に案内される、
と、鉄の扉が(永遠に…、永遠に向かって…、)閉まり、
お湯ではなく、
一酸化炭素ガスが、
シューッと、
壁を這う管の小穴から噴き出す…**
いまの社会のあちこちでも
さまざまなものが絶えず声をかけてくる、
同じ内容を伝える声…、そう、
あれと同じ、
あれらのように、
お疲れでしょ。汗を流してくつろいでくださいね。*
そう言うんだよ、
そうして、…服を脱ぎ、地下のシャワー室に…
と、鉄の扉が
(永遠に…、永遠に向かって…、)
閉まり、
お湯ではなく、
一酸化炭素ガスが、
あるいは他のものが、
シューッと、
壁を這う管の小穴から
あるいは
他のさまざまなものから、
噴き出す…**
●イメージの元となった資料は以下の文書によっている。
・岩井一正「70年間の沈黙を破って―ドイツ精神医学精神療法神経学会(DGPPN)の2010年総会における謝罪表明(付)追悼式典におけるDGPPNフランク・シュナイダー会長の談話『ナチ時代の精神医学―回想と責任』(邦訳)」(in『精神神経学雑誌』113巻8号、2011)
・大熊一夫「ルポ・精神病棟から35年!やっと念願果たす」(同氏ウェブサイト)
・小俣和一郎「いま医の倫理を問う意味―『ナチ時代の精神医学―回想と責任』をめぐって」(in「世界」2012年4月号)
*大熊一夫「ルポ・精神病棟から35年!やっと念願果たす」(同氏ウェブサイト)より引用。
**大熊一夫「ルポ・精神病棟から35年!やっと念願果たす」(同氏ウェブサイト)所収の文を下地してパラフレーズしている。
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