夢の浅瀬の小さなカフェで
目の前の
コルクの壁に
薄い
薄い
翻訳本
カフカのそれを
画鋲でとめて
時間をとめて
励むでもなく読書をしている
両隣には女性客
OLらしき女性客
どうやら
薄い
物思い
濃い
コーヒーを啜っている
そろそろ去ろうか
と
思う頃
右の女性がなにごとか
ぽっそり
呟く
ただ
ぽっそり
聞こえただけだが
左の女性には
ぽっそり
以上に
なにごとか
伝わったのか
「…そうね」
と
答えた
答えるように
「…そうね」
と
言った
紙ナプキンや
セロハンの
包装紙まとめ
わたしは
準備
そろそろ
そろそろ
去ろうか
と
画鋲でとめて
時間をとめて
励むでもなくしている読書
カフカのそれを
薄い
薄い
翻訳本を
コルクの壁に
まだ
とめながら
0 件のコメント:
コメントを投稿